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特撮界で輝いた「バイプレイヤー」たち。 『ウルトラマン』『ゴジラ』のハマり役も…

和製マッドサイエンティストといえば、平田昭彦さん

平田昭彦さん演じる芹沢博士がハマり役だった、1954年の『ゴジラ』。画像は「ゴジラ 東宝DVD名作セレクション」(東宝)
平田昭彦さん演じる芹沢博士がハマり役だった、1954年の『ゴジラ』。画像は「ゴジラ 東宝DVD名作セレクション」(東宝)

 特撮の世界に独特なダンディズムとインテリジェンスをもたらしたのが、平田昭彦さんです。東京大学法学部を卒業した平田さんは、三菱商事の前身である東京貿易に就職するというエリートコースを歩んでいましたが、2歳年上の実兄・小野田嘉幹監督のいる映画業界への憧れが強く、26歳のときに俳優に転向します。

 端正な顔立ちから「東宝ニューフェイス」として売り出され、デビューしてすぐに映画に初主演しますが、残念がながら主演俳優としては「演技が固い」と酷評されてしまいます。

 しかし、平田さんは主演ではなく、準主演的な役どころで活躍するようになります。怪獣映画の金字塔『ゴジラ』(1954年)で演じたアイパッチ姿の芹沢博士はハマり役となりました。「オキシジェン・デストロイヤー」を開発した芹沢博士の悲劇があったからこそ、『ゴジラ』は不朽の名作となりました。『ウルトラマン』では、宇宙恐竜ゼットンを倒す「無重力弾」の開発者・岩本博士を演じています。知的な雰囲気を漂わせる平田さんは、博士役にぴったりでした

 平田さんがそれまでとは異なる魅力を発揮したのが、1972年から放映が始まった東宝制作のTVシリーズ『愛の戦士レインボーマン』です。秘密結社「死ね死ね団」のリーダー・ミスターKを、とてもダンディーに演じてみせました。サングラス姿のミスターKはセクシーな女性幹部たちを引き連れていましたが、映画界のスター女優・久我美子さんのハートを射止めた平田さんだけに、不良おじさん役も説得力がありました。主演ではなく、一歩引いた脇役でキラリと光る俳優でした。

瞳の中に狂気を宿していた岸田森さん

岸田森さんの演技が光る、特撮ドラマ『怪奇大作戦』。画像は「怪奇大作戦/セカンドファイル/ミステリー・ファイル オリジナル・サウンドトラック」(CINEMA-KAN Label)
岸田森さんの演技が光る、特撮ドラマ『怪奇大作戦』。画像は「怪奇大作戦/セカンドファイル/ミステリー・ファイル オリジナル・サウンドトラック」(CINEMA-KAN Label)

 助演ながら主演以上に強烈なインパクトを放ったのが、岸田森(きしだ・しん)さんです。文学座出身の岸田さんは、劇作家・岸田國士氏の甥っ子として生まれ、人気ドラマ『傷だらけの天使』(日本テレビ系)で共演した女優・岸田今日子さんとはいとこ同士になります。

 岸田さんの代表作のひとつに、円谷プロ制作の『怪奇大作戦』(TBS系)が挙げられます。キャストクレジットは二番手だった岸田さんですが、現代社会に潜む怪奇現象の真相に迫る牧史郎役は、誰よりも作品世界になじんでいました。実相寺昭雄監督が撮った第25話「京都買います」は、牧史郎が主人公となっており、シリーズ屈指の名エピソードとして語り継がれています。

「僕は円谷プロ育ち」と岸田さんも自認し、『帰ってきたウルトラマン』(TBS系)では足の不自由な坂田健役で、第37話「ウルトラマン 夕日に死す」までレギュラー出演しました。また、俳優としてだけでなく、第35話「残酷!光怪獣プリズ魔」では「朱川審」名義で脚本も書いています。特撮の世界をこよなく愛していたことが分かります。『太陽戦隊サンバルカン』(テレビ朝日系)では喫茶「サファリ」のマスターを演じました。マスターが作る「サファリカレー」は、さぞかしこだわりの味だったに違いありません。

 岸田さんはホラー映画『血を吸う薔薇』(1974年)では吸血鬼、SF映画『ブルークリスマス』(1978年)では政治家秘書を怪しく演じてみせました。岸田さんの瞳には狂気が宿っており、岸田さんが現れるととんでもないことが起きるのではないか……というドキドキハラハラ感がありました。

 蝶のコレクターとしても、岸田さんは知られていました。「蛾と違って、蝶は羽の裏まで美しい」と語っていたそうです。蝶が持つ上部だけではない美しさ、はかなさを愛していたようです。岸田さんは43歳の若さで亡くなりました。はかなくも美しく、そして多くのファンの心に残る俳優人生だったのではないでしょうか。

(長野辰次)

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