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40代コロコロ中年、ホットショットの組み立につまずく。大人のRCカーライフ(2)

1980年代を「コロコロコミック」とともに駆け抜けた少年たちは、今や40代となりました。あの頃は手に入れられなかったもの、手に入れたけど無くしてしまったものを再び手にした時、心には何が蘇るのでしょうか。今年になってかつての愛機、ホットショットを手に入れた筆者が、組み立てに入ります。

記憶よりも小さな箱

筆者が2020年に再び手に入れたRCカー「ホットショット」の本体とプロポ(以下すべて筆者撮影)
筆者が2020年に再び手に入れたRCカー「ホットショット」の本体とプロポ(以下すべて筆者撮影)

 筆者は小学生のころ、「コロコロコミック」に夢中でした。ファミコンの特集記事、掲載されているマンガ、高橋名人の記事、ハドソンのキャラバン、そのすべてが今でも宝物のように胸の中に宿っています。

 よく特集されていたタミヤのRCカーも欲しくて欲しくてたまらず親にねだり、「ホットショット」を買ってもらいましたが、いつしか失くしてしまいました。

 時は流れて2020年のある日、たまたま仕事でRCカーを操縦したことでかつての情熱が蘇り、「ホットショット」を購入したのですが、仕事が忙しすぎて組み立てられずに時は過ぎていくばかり。これはいけないと一念発起し時間を確保。ようやく組み立てに入ることができました。社会人になって自由になるお金は増えましたが、時間は本当にどうにもなりません。

 抱え上げた「ホットショット」の箱は記憶よりも少し小さいかな? と感じましたが、よく考えてみれば当時と比べると筆者の身長は50センチほど伸びています。箱が小さくなったのではなく、筆者が大きくなっただけでした。まだ小さい自分がこの箱を大事に抱えていた姿は、周りからはどう見えていたのでしょうか。

 最初に塗装を済ませてしまおうと考えたのですが、タミヤカラーを買い忘れていたことに気付いたので、塗装を後回しにしてまずはマニュアル通りにギアの組み立てから入ります。

……パーツが多すぎる。

組み立てが進めば余剰パーツも減るので楽になるのですが、 膨大なパーツのなかから必要なパーツを探し出し、組み込む作業はとにかく最初が大変です。

最初はマニュアル通りに、ギアボックスの組み立てから始めたのですが、プラベアリングと金属製のベアリングを間違えるなど、悪戦苦闘が続きます。今はネットで製作動画を見ることもできますが、35年前にはそんなものはありません。小学生の時の筆者は、本当にこれを完成させたのでしょうか。自信がなくなってきました。 とにかくマニュアルや動画を参照しながら、ひとつずつ確実に組み上げていくしかないのです。

もしかして初期不良? いや勘違いでした

「ホットショット」の組み立てマニュアル。これを読み解くことが、大人のRCカーライフに立ちはだかる最初の壁に……?
「ホットショット」の組み立てマニュアル。これを読み解くことが、大人のRCカーライフに立ちはだかる最初の壁に……?

 しかし、組み立て開始早々、壁にぶつかってしまいました。リヤギヤ、つまりモーターの駆動力を後輪に伝える部分の組み上げが上手くいかないのです。

 具体的には、リヤギヤの左側、G4と呼ばれるパーツにMR2メタルベアリングが上手くハマってくれません。どう押し込んでも1mmほど浮いてしまい、ドライブギヤと干渉してしまうのです。この状態で動かしてもギアが上手くかみ合っていないので、まともに動かない状態です。それどころか、モーターをつないで回したら、さまざまな部品が壊れてしまうでしょう。

 いろいろな動画を見て確認したのですが、該当部分が細かすぎて、上手く動いているギアではどうハマっているのかがよくわかりません。ベアリングをはめる穴をよく確認しましたが、バリがあるわけでもなく、肉がついているわけでもないようです。

 ベアリングを押し込めるところまで押し込んで、ギヤボックスジョイントを差し込んでみましたが、4mm Eリングをはめる溝が出てきません。パーツの外側から確認すると、ベアリングとパーツの間に1mmほどの隙間が空いています。使うパーツが間違っていないか、パーツそのものに変形が生じていないか、10日余り試行錯誤しながら思い当たる可能性をどんどん潰し、初期不良を疑ってタミヤに問い合わせましたが、結論は……。

 パーツのハメ合わせが固くて押し込み切れていなかっただけでした。なんという大恥……。

 説明書の全47工程のなかで、今回つまづいたのは、なんと2番目の工程です。最初から思わぬ形で足元をすくわれましたが、こんなところであきらめるわけにはいきません。現状の出費が4万円あまりということもありますが、小学生時代の自分に技術力で敗れるわけには行かないのです。決してあきらめず、組み上げてみせるつもりです。

 打倒、35年前の自分!

(早川清一朗)

【画像】大人だからといって油断禁物! RCカー「ホットショット」の膨大なパーツたち

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