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理想の女性ヒーロー『ワンダーウーマン1984』は、「弱さ」も丁寧に描く物語だった

もう一度観たくなる!『ワンダーウーマン1984』の名シーン

前作で亡くなったダイアナの恋人、スティーブ・トレバー。今作での再登場は注目ポイントのひとつ
前作で亡くなったダイアナの恋人、スティーブ・トレバー。今作での再登場は注目ポイントのひとつ

『ワンダーウーマン1984』には、非常に心に響くシーンがたくさんありました。

 ペドロ・パスカル演じる実業家マックスは、時折見せる人間臭く、悪役とも言い切れないような人間性を見せました。隠された心の傷や息子に対する愛情をヴィランという立場で表現するペドロの演技力に驚かされます。人間としての深みをたたえたマックスは『ワンダーウーマン1984』のもうひとりの主人公と言っていいでしょう。

 もうひとつが飛行機でエジプトに向かうシーン。スティーブと一緒に乗る飛行機を透明化してしまいますが、これは原作コミックや70年代のドラマでも登場したインビジブルジェットというもの。文字通り透明な飛行機でダイアナが空中で椅子に座ったような姿勢なのが特徴です。機体はもともとアフロディーテからの贈りもので、アマゾン族の技術が搭載され、計器やミサイルまで透明……という設定でしたが、それを映画で実現させたシーンはファンを驚かせました。

 個人的に最も印象に残ったのが、前作で亡くなったダイアナの恋人スティーブとの最後のシーンです。石の力で偶発的にスティーブを現代に蘇らせてしまったダイアナは、失っていた心の支えを取り戻しましたが、代償としてワンダーウーマンとしての能力を失います。

 世界中に問題が発生するなかで、ダイアナは願いを取り消し能力を取り戻すことを選択しますが、それでも愛をつらぬきたいとするダイアナは、スーパーヒーローというよりも、ひとりの女性なのだということを改めて認識させられました。

 ヒーローの強さをアクションシーンで表すことは多いと思いますが、本作では「強さ」だけではない「はかなさ」や「弱さ」が丁寧に描かれています。ヒューマンドラマであり、デートムービーかつヒーロー映画というふり幅は、ワンダーウーマンに相応しい構成といえるでしょう。

 もし今後続編が作られるとしたら、ワンダーウーマンのサイドキックであるワンダーガールの登場に期待したいところです。ドラマ『タイタンズ』ではコナー・レスリー演じるワンダーガール(ドナ・トロイ)が活躍していたので、登場の可能性は十分にあるのではないでしょうか?

(大野なおと)

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