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動く実物大ガンダムは「本能」を呼び起こす! 巨大ロボットが感じさせた“畏れ”とは

2020年、人類はついに全高18メートルの実物大ガンダムを動かすことに成功しました。公開された「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」に鎮座し、頭上はるか高くにそびえ立つ威容は、心の奥に潜んでいた畏(おそ)れを引き出すのに十分な存在感を秘めています。

人類の「生存競争」思い起こさせた、巨大な存在への畏敬

「動く等身大ガンダム」の展示を中心に、2020年12月にオープンした「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」 (C) 創通・サンライズ
「動く等身大ガンダム」の展示を中心に、2020年12月にオープンした「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」 (C) 創通・サンライズ

 ただ、圧倒されました。
 巨大な物が動く。それだけのことに、ただ圧倒されたのです。

 ガンダムが前に歩き、膝をつき、立ち上がり、天を指す。たったそれだけの動作をしただけなのに、筆者の体はあとからあとから湧き出してくる、畏れに震えていました。

 横浜の「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」に設置されたドック内に鎮座している、全高18メートルの「RX-78F00 ガンダム」の威容は、静止しているときも強烈な存在感を放っていたのです。本当にこんなものが動くとは、実際に見るまではとても信じられませんでした。

 初代『機動戦士ガンダム』14話「時間よ、とまれ」でジオンの若者たちは、こんな巨大な相手に、爆弾片手にワッパで突っ込んで行ったのか。OVA『機動戦士ガンダム第08MS小隊』で、シロー・アマダは相手がザクとはいえ人間など一瞬で踏みつぶせる存在に、生身で待ち伏せをかけたのか。TVアニメ『機動戦士Vガンダム』のネネカ隊は、V2アサルトバスターガンダムにどんな気持ちで消し飛ばされていったのか……とても想像ができません。「痛かったらごめんなさい」じゃあ済まないでしょウッソ。

 ガンダム以外でも、巨大ロボットが登場する作品では、生身の人間がわずかな武器で勇敢に立ち向かうシーンがしばしば登場します。しかしそんなことは不可能です。一瞬で自分を粉々にできる武器をいくつも備え、分厚い装甲に身を包み、必要とあればジャンプも可能な存在が目の前にいたら、立ち向かう勇気など一瞬で吹き飛んでしまうでしょう。

 人類の歴史とは戦いの歴史です。いまこの世に存在しているすべての人びとは、生存競争に勝ち残った人間の子孫なのです。しかし目の前にそびえ立つガンダムを見ているだけで、魂の奥底に刻まれた戦いの本能が「何をやったって勝てない」とささやいてきます。

 もし、この巨大な存在の目がこちらを向いたら、次の瞬間にザクの装甲すら撃ち抜く砲弾が飛んでくるかもしれないのです。人にできるのは、畏れ敬うことだけなのかもしれません。

【画像】横浜港の各所から望める、実物大ガンダムの威容(5枚)

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