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金ローで『エヴァ新劇場版:破』、大ヒット生み出した庵野監督の「快感原則」とは?

「金曜ロードSHOW!」(日本テレビ系)では、2021年1月15日から3週連続で『ヱヴァンゲリオン新劇場版』を放送しています。庵野秀明監督いわく、「快感原則」にのっとった形で『エヴァ』を生み出したそうです。多くの人を知らず知らずのうちに魅了する「快感原則」と、大ヒットアニメとの関係性を探ります。

多くの日本人を魅了し続ける『エヴァ』

『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:破』(公式サイトより)
『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:破』(公式サイトより)

 悩める14歳・碇シンジは、はたして大人になることができるのか……? 1995年のTVシリーズの放映以来、たびたび日本国内で社会現象を巻き起こしてきた「エヴァンゲリオン」ですが、シリーズ完結編『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の公開は、新型コロナの影響で公開延期となりました。「金曜ロードSHOW!」(日本テレビ系)では、2021年1月22日(金)に新劇場版の第2弾となる『ヱヴァンゲリオン新劇場版:破』(2009年)がオンエアされます。

 人類を襲う謎の敵・使徒との戦いもクライマックスを迎え、汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン初号機に乗るシンジ(CV:緒方恵美)、零号機に乗る綾波レイ(CV:林原めぐみ)、2号機に乗る式波・アスカ・ラングレー(CV:宮村優子)は、それぞれ過酷な運命に呑み込まれていきます。“メガネ女子”真希波・マリ・イラストリアス(CV:坂本真綾)も、新たに登場。妙に訳知り顔なマリによって、エヴァ2号機はビーストモードに変身することになります。

 複雑な設定が施されているにもかかわらず、庵野秀明監督が生み出した『エヴァ』の世界が多くの日本人を長年にわたって魅了し続けているのはなぜでしょうか。その要因を探ってみます。

気持ちよいものを求める人間の潜在意識

 旧劇場版(1997年)の公開時、庵野監督は次のように語っています。

【こういう業界は基本的にサービス業だと思いますからね。快感原則にのっとったら皆こっちの方を選ぶ。快楽を多く含んでいるので。『エヴァンゲリオン』 は快感原則にのっとってやっている。ありとあらゆる人が見た時に、自分の鏡となって返ってくるような作りになっている】(『庵野秀明スキゾ・エヴァンゲリオン』 太田出版)。

『エヴァンゲリオン』 を観ることで、ファンはそれぞれ自分が快感、気持ちよさを感じる要素を見つけられるように設定されていたわけです。

 ここで語られている「快感原則」は、「快楽原則」とも呼ばれ、心理学者のジークムント・フロイトが提唱したものです。人間は無意識のうちに、自分が心地よいと感じるものを求めることを指しています。赤ちゃんが母親のおっぱいを求めるのも、「快楽原則」に基づくわけです。逆に不快なものは避けようとします。

 主人公・シンジの前には、口数は少ないけれどシンジには心を開く綾波レイ、サディステックな魅力の持ち主・アスカなど、異なるタイプの美少女たちが現れます。そして、これまでにない斬新なデザインのエヴァンゲリオンが大活躍。さらには旧約聖書などをモチーフにした謎解きが、ストーリーの各所に散りばめられています。『エヴァ』の世界に足を踏み入れた人は、知らず知らずのうちに「快感原則」に導かれ、庵野秀明ワールドという底なし沼にどっぷりハマることになるのです。

【画像】『破』では「最強の拒絶タイプ」使徒が登場。シンジたちを苦しめる(5枚)

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