自粛生活で再びブームの「リリアン」 昭和女子が熱中、でも「遊び方」がちょっと違う?
昭和少女たちは、ただひたすら紐を編んでいた
1970年代、女の子たちはヒマさえあればリリアンの糸をすくっていました。あまり手先が器用でなくてもできるため、リリアンには仲間はずれはなし。小学校の休み時間になると、女の子たちは仲良しグループで集まってリリアンを編んでいました。一緒に編んでいるからとはいえおしゃべりをするわけでもなく、それぞれが無心に糸をすくう様子はちょっと不思議な光景かもしれませんが、みんな“誰よりも一番長い紐を編んでやるぞ”と静かに心を燃やしていたのです。
編み機に糸をかけてすくうという単純な作業なのに、なぜかそれが楽しくて、やめられない止まらない。気づけばリリアンの編み機から、何に使うでもない紐が、どんどん伸びていきました。
そう、いまどきのリリアンは、編み上げた紐であみぐるみやアクセサリーを作るという“その先”がありますが、70年代当時はただひたすら“長い紐を編む”だけのものだったのです。ですから、編みあげた紐には使い道がなく、せっかく編んだのにほどいてまた編み直したり、なぜかお母さんにプレゼントしてみたり、意味もなく何かを縛ってみたり……。編み上げた紐にはあまり魅力はなかったものの、純粋に“編む”という行為の楽しさを感じた遊びだったのです。
ステイホームのなかで初めてリリアンを手に取った方たちもきっと、ひたすら“編む”喜びにハマっているのではないでしょうか? そして、かつてリリアンに夢中になった少女たちにも、人生で2度目のリリアンブームが来ているかも? あなたも幸せなおうち時間のために、リリアン・タイムを過ごしてみませんか?
(古屋啓子)