【声優・本多真梨子のマンガ愛(20)】取扱注意。ゾクゾクする少女マンガ『恋と心臓』

相手のイケメン男子は「ヤンデレ」の完成形で…

　少女マンガには共通点があるんですよ……。

「相手の男子が主人公の女子をものすごく好きになってくれる！！！」ということ。

　もちろんそうでない少女マンガもあるけど、大半は最初から好きか、徐々に好きになるか……。どちらにしても主人公のことをガッツリ好きになってくれる作品が多い気がします。キュンキュンさせる……それが少女マンガなのかと！

　今回ご紹介する少女マンガは、その中でも飛び抜けて愛情が大きく……大きすぎて、歪んでしまったヤンデレ男子の物語。軽いヤンデレ男子のマンガではありませんので、ご注意ください。

　主人公は大学1年生の八木沢羊（やぎさわ よう）。母が海外勤務でひとり暮らし。家に帰ると、幼なじみを名乗るイケメンの春馬（はるま）が。だが羊は、幼なじみの彼のことを一切覚えていなかった。不審な気持ちのまま、羊は春馬と同居することに。

　優しくてにこやかな彼……しかし彼と出会ってから羊の周りで不審な出来事が相次ぐ。この出来事の黒幕は誰なのか。彼を信じていいのか……？

　やーーーー怖い。ほんと怖い。
　これは、ただの少女マンガじゃないんですわ！！！！

　春馬くんは誰なのか、春馬くんは本当に味方なのか。ヤンデレ系少女マンガも読んできたけれど、この春馬に勝るヤンデレはお会いしたことがありません。好きすぎて殺すとかそういう闇ではなく、ある意味本当に愛しすぎるとこうなってしまうのか？ という、完成系ヤンデレ。これは改心しようがない……。

　読んでいて、あ！大丈夫なんだ～って、ホッとした途端、後ろから頭を鈍器で殴られるような、そんな作品です。

　策略により人間関係振り回されて、幸せそうだった関係がこんなにぐちゃぐちゃになるとは……ホントえげつない。特に、親友の冬弥（とうや）と早和子（さわこ）の隠されていた感情が春馬によって暴かれて、どんどんドロ沼になっていく姿は痛々しくて見てられません。