『鬼滅の刃』煉獄杏寿郎の“刺さる”名言 コロナ禍で沈む現代人の心に灯した炎
散りゆく前に見せた笑顔
●「心を燃やせ」煉獄杏寿郎が後輩たちに託したもの
煉獄さんは、激闘の果てに致命傷を負いました。朝日が昇り、自分の死を前にして彼は炭治郎に告げるのです。
「胸を張って生きろ」
そして次のように続けます。
「己の弱さや不甲斐なさにどれだけ打ちのめされようと 心を燃やせ 歯を食いしばって前を向け」
元・炎柱である父、煉獄槇寿郎(れんごく・しんじゅろう/CV:小山力也)から「柱など意味はない」と言われても、煉獄さんは歯を食いしばって前を向いていたのでしょう。続く煉獄さんの言葉は彼の人生を振り返るようなものでした。
「君が足を止めて蹲(うずくま)っても時間の流れは止まってくれない。ともに寄り添って悲しんでくれない」
そして彼は言うのです。「俺がここで死ぬことは気にするな。柱ならば後輩の盾になるのは当然だ。柱ならば誰であっても同じことをする。若い芽は摘ませない」
死を前にして、息子に毅然とした姿を見せた母のように、煉獄さんは後輩たちへ後を託していきます。彼らが少しでも自分を責めないように、前を向いて進んでいけるように、かつて、自分が母から託されたように。
「そして今度は君たちが鬼殺隊を支える柱となるのだ。俺は信じる。君たちを信じる」
煉獄さんは、そうして笑ったのです……。
「母上、俺はちゃんとやれただろうか やるべきこと果たすべきことを全うできましたか?」
●「弱さに打ちのめされても」強くあり、かつ弱さを理解している煉獄杏寿郎
明るく、快活で、まっすぐな煉獄さんはたくさんの人に好かれ、「生きていて欲しかった」と多くのファンが言います。
けれども、彼の生き方は、その信念に基づいたものでした。強く生まれた者として、傷ついても苦しくても歯を食いしばって前を向き、自分の責務を全うしています。
煉獄さんも、好きで強く生まれついたわけではありません。強いことで、逆につらい思いもしたかもしれません。それでも彼は信念のとおりに生きました。煉獄さんは「弱さに打ちのめされても、心を燃やせ」と口にしています。この言葉は、大きなメッセージとして残ることでしょう。
2021年現在、世界は新型コロナウイルス感染症のために暗く沈んでいます。だからこそ、「心を燃やせ」という言葉がより響いたのかもしれません。弱くても不甲斐なくても前を向いていく……強者でありながら弱者に寄り添える、煉獄さんの心の持ち方も人気の理由のひとつでしょう。
(マグミクス編集部)