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マンガ界でも「怪獣」が熱い? 『怪獣8号』とバラエティ豊富な怪獣マンガ3作品

バトルから恋愛まで…実はなんでもイケる怪獣作品

『怪獣8号』は王道のジャンプ作品の要素が強めですが、近年公開された怪獣作品たちは実に個性豊かなものばかり。リアリティ重視のものから、少女マンガとして人気を博しているものまで……。ここからは特徴的な怪獣マンガ3作品をご紹介します。

●井上淳哉『怪獣自衛隊』

『怪獣自衛隊』第2巻(新潮社)
『怪獣自衛隊』第2巻(新潮社)

 2020年5月より『月刊コミックバンチ』で連載されている本作は、作品紹介の「怪獣は現れたが、ヒーローはいない」という言葉通り、人類が自らの力のみで怪獣に立ち向かう物語。令和X年、太平洋沿岸で大津波が発生したことをきっかけに、未知の巨大怪獣と戦うことになります。

 本作の魅力はなんといっても、徹底したリアリティ。怪獣と接敵した際には、往年のゴジラシリーズを思わせる政治的な段階が踏まれ、もし現世に怪獣が出現したらどう対処していくのか……といった部分が事細かに描かれています。ネット上には「タイトル買いした」「ウルトラシリーズを思わせる災害ぶり」など、かつての怪獣ブームを経験した層からも熱い支持を得ている作品です。

●佐野ロクロウ・肥田野健太郎『ジガ-ZIGA-』

 2018年から『週刊少年ジャンプ』で連載され、巨大生物が襲来した地球を舞台にした怪獣マンガです。ジガと呼ばれる巨大生物に母や友人を殺されてしまった少年・蜂鐘コウは、その仇を討つため異災連と呼ばれる怪獣対草の組織に入隊しますが、徐々に判明するジガの正体が予想だにしなかった人物であることを知り……。

 特撮作品へのリスペクトを随所に感じられるのが本作の特徴。メイン怪獣はゴジラのような王道の怪獣フォルムに加え、ラドンのような鳥型の怪獣も登場。戦闘は基本夜に行われるため、怪獣たちが映える描写も魅力です。

●蒼木スピカ『乙女怪獣キャラメリゼ』

乙女怪獣キャラメリゼ 第1巻(KADOKAWA)
乙女怪獣キャラメリゼ 第1巻(KADOKAWA)

 最後は、少し変わった怪獣作品をご紹介します。『月刊コミックアライブ』にて連載中の『乙女怪獣キャラメリゼ』は、“怪獣×恋愛”というニュージャンル。主人公は、感情が昂ぶると体の一部が怪獣のように変形してしまう奇病に侵された女子高生。そんな彼女は同級生に恋をしたことで、全長100メートルの大怪獣「ハルゴン」に変身してしまう……というシュールなストーリーですが、恋の苦労もしっかり押さえた、王道の少女マンガとしても楽しめる一作です。

 今年2021年はハリウッド版ゴジラの新作公開も控えており、怪獣作品への関心はますます高まるでしょう。『怪獣8号』は単行本1巻が発売されたばかり。人気上昇中の『呪術廻戦』『チェンソーマン』とあわせて注目していきたい作品です。

(椎名治仁)

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