戦隊のパターンを作った『デンジマン』怒涛の最終回。物語の“主役”は敵勢力だった…?
怒涛の最終回から40年の月日が経った『電子戦隊デンジマン』。後の戦隊シリーズの基礎を築いただけでなく、その最終回には今なお語り継がれる重厚なドラマが用意されていました。
『デンジマン』が築いた戦隊シリーズの「黄金パターン」
今年2021年の1月31日は、1981年の同日に『電子戦隊デンジマン』の最終回が放送されてから40年目です。本作はスーパー戦隊シリーズの基礎を作った作品のひとつで、最終回までのストーリーは、今でも語り継がれるほどの熱量がありました。
まずは本作が築いた、戦隊シリーズの黄金パターンをご紹介しましょう。
デザイン的な特徴としては、はじめてゴーグルを使った戦隊となります。メンバーごとの個性を前面に出さずに、チームとして統一感のあるデザイン、ゴーグルの微妙な違いでそれぞれのヒーローを表現していました。
ここで大きな意味を成すのが、それぞれのカラーです。デザインでなく色により別なヒーローに見せるという方法を確立したのは本作からでした。
また、頭部に電飾を組み込んで「電子戦隊」らしさを表しています。オープニングの「頭にきらめくデンジメカ」は、もっともデンジマンを象徴するパーツでした。ちなみにデザインは本作からスポンサーのポピー(現在のバンダイ)が担当しています。
他にも戦隊シリーズ初となるのが、変身アイテム「デンジリング」の登場でした。『秘密戦隊ゴレンジャー』や『バトルフィーバーJ』ではアイテムなしで変身しましたし、『ジャッカー電撃隊』はカプセルに入ることで変身するという方式をとっています。
敵怪人が巨大化するというのも、本作が戦隊シリーズでは初めてとなります。巨大ロボが初めて登場した前作『バトルフィーバーJ』では、怪人とそっくりな巨大ロボと戦うという設定でした。つまり一度倒した怪人が巨大化してロボ戦になるという流れは、本作が最初となります。
味方側が防衛チームのような組織でないのも、戦隊シリーズでは本作が初めてでした。既存の組織が防衛のためにチームを結成するのではなく、滅ぼされた星の末裔が宿命に導かれて集う……という展開が本作の見どころのひとつ。これは当時のSF映画ブームが背景にあり、モチーフとして「南総里見八犬伝」があったからと言われています。
これまでベテラン俳優が演じていた司令官の立場のデンジ犬アイシーは、同作品の八房がモデルと言われていました。
この壮大な世界観に対応して、戦隊シリーズでは初めてとなる宇宙からの脅威、異次元の悪の一味・ベーダー一族という敵が設定されます。今まで大ボスが宇宙人だったということはあっても、最初から宇宙規模の敵が攻めてきたというのは初でした。これも前述したようにSFの要素だったのかもしれません。
そして、壮大な物語が結実したのが、終盤の連続ストーリーでした。