『エヴァ』のトラウマになりそうなシーン5選。シンジたちが傷つく姿には意味がある…?
なぜ毎回傷つくのか? 監督の言葉にもヒントが…

●綾波レイもろとも零号機が使徒に捕食される
続いては『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』から「綾波レイが使徒に捕食されるシーン」です。相手は、先ほど記した最強の「第10使徒」。マリの乗った2号機が倒れ、皆が諦めかけたとき、零号機に乗った綾波レイが爆弾を持って、自爆覚悟で突入します。しかし、レイの決死の攻撃もむなしく「第10使徒」は全くの無傷。
爆発で辺り一面が荒野となったなか、レイと零号機は使徒にバクッと捕食されてしまいます。この光景を目の当たりにしたシンジは怒り爆発。レイを助けるために覚醒するのですが、そこまで行くのに残酷なシーンが続きました。
●シンジも観客もトラウマ? 渚カヲルの死
最後は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』から「渚カヲルの死」です。同作で初めて渚カヲルと出会ったシンジは、ピアノでの交流などを通してだんだんと打ち解けていきます。
そんななか、カヲルはシンジの首に取り付けられていた爆破装置を取り外し、自分の首に取り付けます。2人はそのままエヴァンゲリオン第13号機に乗ってミッションに挑むのですが……最後に爆破装置が起動。カヲルの無惨な死を目の当たりにしたシンジは、全ての気力を失ってしまいました。
戦いの中ではほぼ必ずといっていいほど大きなケガを負う『エヴァンゲリオン』のメインキャラクターたち。なぜこのようなシーンをあえて描くのでしょうか。これについて、庵野秀明監督は新聞のインタビューにこのように答えています。「完全なものって好きになれないんです」「僕の作品に出てくるロボットなども、戦いの中で傷つき、どこかが壊れた姿になることが多い」「僕にとっては何かが壊れ、欠けてる方が普通なんです。それは体の場合もあるし、精神の場合もあるんですが……」(朝日新聞1999年8月30日付)
「何かが欠けている方が普通」。私たちが『エヴァンゲリオン』に心を動かされるのは、エヴァンゲリオンやそれに乗る碇シンジたちが決して完全無欠のヒーローではなく、弱さや傷を背負いながらも前に進んで行く姿にあるのかもしれません。
(吉原あさお)