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『マリオブラザーズ』の”じゃない方”ルイージ 影の薄さが、今の地位を得る転機に?

2020年、華々しく35周年を迎えた「マリオブラザーズ」シリーズ。今でこそ「怖がり」や「おっちょこちょい」といったキャラクターが定着し、「マリオ」と明確な差別化がなされた「ルイージ」ですが、1983年にデビューしてから今の地位に至るまでの道のりは決して平坦なモノではありませんでした。

ルイージ、登場時から”永遠の2番手”? 兄の活躍に反比例して影を薄くしていった

ゲームキューブ用ソフト『ルイージマンション』(任天堂)
ゲームキューブ用ソフト『ルイージマンション』(任天堂)

 1983年3月にゲーム&ウオッチ版、7月にアーケードゲームとして『マリオブラザーズ』が世に出てから今に至るまで、マリオとルイージの兄弟は世界中でビデオゲーム界のトップを走り続けてきました。昨年2020年には「スーパーマリオブラザーズ」シリーズが35周年を迎えています。

 ……が、話題の中心はやはり「マリオ」。この記事では、ブラザーズの”じゃない方”「ルイージ」の苦節と功績を振り返ります。

 兄弟の格差がどこから始まったのかを厳密に見ていくと、彼らがデビューした年まで振り返ることができるでしょう。

 ゲーム&ウオッチ版として発売された『マリオブラザーズ』における「ルイージ」の設定は「マリオの相棒」でしたが、同年7月に稼働を始めたアーケード版においては「マリオ」と同じ動きのできる「2プレイヤー用キャラクター」です。ここから彼の”永遠の2番手”の道が始まったと言って過言ではありません。

 アクションゲームとしてだけでなく「マリオカート」や「マリオパーティ」など、兄の名を冠する幅広いジャンルのゲームタイトルがヒットを連発させていくなか、彼は”数いるキャラクターのなかの1体”としてますます影を薄くしていくことになるのですが……。

 彼の存在感を薄くした要因は、兄の活躍だけではありません。後発キャラクターの快進撃による所も大きいです。

 スーパーファミコン用ソフト『スーパーマリオワールド』でパッケージに描かれた「ヨッシー」は「ルイージ」のテーマカラーでもある緑色の恐竜。 また、トレードマークの「ヒゲ」と「帽子」も、ゲームボーイ用ソフト『スーパーマリオランド2 6つの金貨』に登場する悪役「ワリオ」の登場によって、兄弟に共通する特別な特徴とは言えなくなってしまうのです。

 しかし、彼にとって決定的な出来事は、アイデンティティを奪われたことではありません。自分よりもずっと早く、後輩が主役を務めるタイトルが製作されたことにあります。

出世の早い「ヨッシー」や「ワリオ」…「ルイージ」が日の目を浴びたのは2001年

「ヨッシー」は1995年に発売されたスーパーファミコン用ソフト『ヨッシーアイランド』、「ワリオ」は1994年に発売されたゲームボーイ用ソフト『スーパーマリオランド3 ワリオランド』として主役に抜擢されました。

 これは両者がそれぞれ、これまでの「マリオブラザーズ」シリーズにはなかった新しいアクションを携えていたことにも理由があるでしょう。

「ヨッシー」は卵を投げたり伸びる舌を駆使したりする動きに特徴を持ちますし、「ワリオ」は今の「マリオ」シリーズに共通する「ヒップドロップ」アクションの元祖でもあります。

 正確に言えば「ルイージ」もファミリーコンピューター用ソフト『スーパーマリオブラザーズ2』において、「マリオ」と比較するとジャンプ力が高いが、ダッシュ時に滑りやすいという差別化は図られていました。

 ですが、基本的なアクションは「マリオ」と変わらないため、「『マリオ』の”類似”だから『ルイージ』」なんてデタラメまで流される始末。日の目を浴びることがないまま、後輩のスピード出世を親指をくわえながら見る苦節の日々が続いていたのです。

 彼に訪れる転機は2001年。ニンテンドーゲームキューブのローンチタイトルの1作品として『ルイージマンション』が発売された年です。

「オバキューム」とよばれる、彼専用の新ウェポンが与えられたこともさることながら、この作品あたりより「怖がり」や「おっちょこちょい」と言ったキャラクターが定着していったこともポイントでしょう。

 また、初の主役作品が「お化け屋敷」を舞台とするタイトルとは、これまで”影が薄かった”こととも親和性があったのかもしれません。

 初登場から18年、存在を薄くし続けたからこそ確率できたキャラクターは”じゃない方”としてマリオを支え続けた功績のようにも思えます。

(ふみくん)

【画像】やっと報われた!?「ルイージ」の活躍が光るゲーム(5枚)

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