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空回りばかりだった「カツ・コバヤシ」の戦死…宇宙世紀の歴史に影響を与えていた

『Zガンダム』に登場当初、活躍が期待されていたカツ。しかし、その行動は空回りするばかりで、むしろファンからブーイングされることになってしまいます。なぜ、そうなったのでしょうか?

カツの成長に大きな影響を与えたのは…

『Zガンダム』メモリアルLD-BOX(バンダイビジュアル)のジャケットに描かれた、同作のメインキャラクター。左から3番めがカツ・コバヤシ
『Zガンダム』メモリアルLD-BOX(バンダイビジュアル)のジャケットに描かれた、同作のメインキャラクター。左から3番めがカツ・コバヤシ

 本日2月15日は、35年前の1986年に『機動戦士Zガンダム』第49話「生命散って」が放送された日です。ジェリド・メサ、レコア・ロンド、ヘンケン・ベッケナー、ダンケル・クーパー、ラムサス・ハサなど、戦死者が多いガンダムシリーズから見ても、これだけ名前のあるキャラが1話で死亡することは珍しいことでした。

 なかでも『機動戦士ガンダム』からレギュラーとして登場していたカツ・コバヤシ(旧姓ハウィン)の戦死は、一年戦争時代の子供だったころの彼を知る者には衝撃的だったと思います。

 しかし、子供時代はおとなしく内向的だったカツが、どうしてあのように死に急いだのでしょうか。そこで、あらためてグリプス戦役時のカツについて考えてみたいと思います。

 カツは一年戦争終結後、ホワイトベースでいつも面倒を見ていたフラウ・ボゥが、ハヤト・コバヤシと結婚したことを機会に、一緒に行動していたレツ・コ・ファン、キッカ・キタモトとともにふたりの養子となりました。この時、コバヤシ姓になります。

 ここからは想像ですが、三人組で一番おとなしかったカツでしたが、年功序列で長男として扱われるようになったことでレツやキッカを守らなければ……という責任感ができたのかもしれません。アムロと行動をともにする直前、ふたりを言い聞かせる場面を見るとそう感じられます。

 その「長男」として芽生えた責任感が、「自分がやらなくてはいけない」という気負いすぎる要因になったのでしょう。

 もうひとつ、父親となったハヤトに問題があった可能性があります。ハヤトは一年戦争時代から、たびたび衝動的な行動に出ようとする場面がありました。

 脱走したアムロへの対応に不満を抱いてホワイトベースから出ようとしたり、サイド6でザンジバルを見て何かしようとしたりと、意外と短気な面を見せます。そして、アムロへの一方的なライバル心をたびたび見せていました。

 これらの行動を見ていると、アーガマでカツが起こしたトラブルと共通する要素があります。もしかしたらハヤトのこうした性格が、意識しないうちに悪い影響をカツに与えたのかもしれません。

 そして成長したカツにとってもっとも悲劇的だったことは、「一年戦争で生き延びた」経験だったかもしれないということです。

 あのホワイトベースにいて、何度も危険な目にあいながらも無事だったという自信が慢心につながったのかもしれません。そう考えると、常に危険なことを平気でしていたという危機感の欠如が、兵士としては致命的だと考えられます。

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