空回りばかりだった「カツ・コバヤシ」の戦死…宇宙世紀の歴史に影響を与えていた
カツが影響を与えた、ふたりのニュータイプ

実は、このカツの行動が宇宙世紀を変えた。そう思っても過言ではないほど、大きな影響を与えた人物がふたりいます。
ひとりは、カミーユ・ビダンです。カミーユもカツに負けないくらいエキセントリックな性格の持ち主でした。しかし、中盤以降は自分を制御できないような突拍子もない行動は少なくなっています。それは、カツの身勝手な行動を目の当りにするようになったからかもしれません。
時期的にウォンからの修正、ニューホンコンでのフォウとの出会いと別れがきっかけだったかもしれませんが、カツへのいら立ちを隠していないところを見ると、反面教師としてとらえていた可能性は大です。
もしもカミーユの成長に大きな影響を与えたのなら、結果的にカツの行動がグリプス戦役の戦局を左右したことになるでしょう。
もうひとりは、クワトロ・バジーナことシャア・アズナブルです。
作中では接点が少ないように思えますが、カツと一緒に宇宙に出る時に以下のようなセリフを父親のハヤトに言っていました。
「父親代わりの経験もいいと思っている 胸がときめく」
ハヤトに対して心配をかけないよう言っている可能性もありますが、シャアがお世辞として心にもない嘘をつくとも考えられません。そう考えると、シャアはこの時点で「父親」というものに対して、それなりに興味があったと考えられます。
この「父親」というキーワード、後年『逆襲のシャア』では以下のようなセリフになっていました。
「そうかクェスは父親を求めていたのか…それで、それを私は迷惑に感じて、クェスをマシーンにしたんだな」
単純に比較できませんが、この時のシャアは父親であることを嫌がっていました。ひょっとしたらグリプス戦役でカツを戦死させたことが、シャアの心にトラウマをもたらしたのかもしれない。そう考えられなくはありませんか……?
だとすると、カツが生き延びていれば父親役に絶望することなく、シャアはクェスにやさしくできたかもしれません。そうすると、連鎖的にハサウェイの行動にも変化が生じて、今年2021年に劇場版が公開予定の『閃光のハサウェイ』に至らなかったかもしれません。
あくまでも筆者の目から見た考証ですが、ガンダムシリーズにかかわる「IF」を考えたとき、ひとりの死が大きく歴史を変えた可能性があるという意味では、カツはもう少し評価されてもいいのではないかと思うのです。
(加々美利治)

