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【シャーマンキング30周年への情熱(26)】『THE SUPER STAR』に登場の「中泉八雲」から、キャラ名の法則を読み解く

講談社「少年マガジンエッジ」で連載中の「シャーマンキング」シリーズ。その最新話に登場した謎の人物の素性について考察します。原作者・武井宏之先生にそれを伝えた結果、帰ってきた意外な言葉とは……?

最新回に登場した人物・中泉八雲について考察!

『SHAMAN KING THE SUPER STAR』第6廻が掲載された、「少年マガジンエッジ」2021年3月号(講談社)
『SHAMAN KING THE SUPER STAR』第6廻が掲載された、「少年マガジンエッジ」2021年3月号(講談社)

 今回は、少年マガジンエッジ2021年3月号に掲載の『SHAMAN KING THE SUPER STAR』第6廻「宿ボーン ~たぶん最後の修学旅行~」の内容について考察します(本誌記載の「シュク宿ボーン」は誤植だそうです)。とはいえ、インパクトのある終わりはネタバレになってしまうので避けるとして、今回より登場した、正体不明の人物・中泉八雲について考えてみましょう。

 彼の名前の由来が、作家「小泉八雲」であることは疑いようがありません。小泉八雲といえば、元はイギリス生まれの外国人ラフカディオ・ハーン(パトリック・ラフカディオ・ハーン)で、後に日本国籍を取得したとか、日本の怪談話などを英訳して外国に伝えたということをご存じの方も多いでしょう。中泉八雲がなぜこの作家をもじった名前を名乗っているのか……本名かもしれないし偽名かもしれませんが、ここでは劇中から一歩外に出てメタ的な視点で見てみることにします。

 まず本家・小泉八雲が名乗った「八雲」の根拠ですが、彼が島根県で教師をしていたことに由来します。皆さんは和歌などで使われる「枕詞」というものを聞いたことがあると思います。ある言葉を引き立たせるためにセットで使われる語句のことで、例えば「ちはやぶる神代もきかず竜田川からくれなゐに水くくるとは」という和歌は、「ちはやぶる」が「神」という語句の枕詞です。同様に、「出雲という場所(旧国名)」にかかる「八雲立つ」という枕詞があり、小泉八雲はそこから「八雲」を取ったわけです。おや、出雲という言葉が出てきました。

 では次に、劇中で中泉八雲が麻倉花たちに差し出した名刺に注目してみます。彼は「知出宗(ちいずしゅう) 春茗山(しゅんめいざん) 勝定寺(しょうじょうじ)」の宿坊「知出坊(ちいずぼう)」の主人だと名乗っています。調べてみると「知出宗」「春茗山」は実在しませんが、「勝定寺」は島根県出雲市に同名のお寺があります。これも出雲です。

 ということは、中泉八雲と出雲は何か設定上の関連があるかもしれません。また「春茗」というのは中国ではめでたい・新年会という意味があるようですから、2月の春節の時期に発売される3月号で初登場する記念的意味があったのかも……となると、彼はただ者ではない気がしてきますね!

 しかしそれだと「知出」という言葉だけが謎です。そこで思い切って、この考察を武井先生にぶつけて、本当のところを聞いてみました。その結果は……「すまん、実はもっとしょーもない理由だよ」という返答が……。

【画像】「シャーマンキング」シリーズ作で振り返る、キャラの命名法則

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タシロハヤト

美少女ゲームブランド「âge(アージュ)」の創立メンバーで、長らくシナリオ、演出、監督等を務める。代表作は「君が望む永遠」シリーズ、「マブラヴ」シリーズ。現在はフリーで活動中。『シャーマンキング』の作者、武井宏之氏と旧知の関係である縁から、同作の20周年企画に参加している。
https://twitter.com/tamwoo_k