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アニメ史を動かした劇場版『ガンダム』公開から40年。徹夜の行列で見届けた熱狂ぶり

セル画を求めて、公開前夜から徹夜で並んだ

劇場版『ガンダム』公開とほぼ同じタイミングで「ジオング」のプラモデルが発売、劇場の待機列にはジオングの箱を持つファンも。画像は2020年に発売された、「RG 機動戦士ガンダム ジオング 1/144 色分け済みプラモデル」(BANDAI SPIRITS)
劇場版『ガンダム』公開とほぼ同じタイミングで「ジオング」のプラモデルが発売、劇場の待機列にはジオングの箱を持つファンも。画像は2020年に発売された、「RG 機動戦士ガンダム ジオング 1/144 色分け済みプラモデル」(BANDAI SPIRITS)

 そして、いよいよ劇場版『ガンダム』の公開日となりました。ここからは筆者の体験談がメインとなります。

 筆者はこの時、公開日の前日から徹夜で並んでいました。その最大の理由は、先着50人までに配布されるセル画です。もともと、制作が終わったセル画は制作会社が保管または廃棄処分にしていたのですが、アニメファンの増加によって価値が見出され、アニメブームのころには販売されるようになっていたのです。

 しかし当時は、セル画を販売する店舗は限定されていました。そのため、地方では時々やってくるアニメイベントの際に販売される程度のものだったのです。こういった希少価値のあるものですから、アニメ映画の初日に来場者特典として配布して、人気を盛り上げようとすることが多くありました。

『ガンダム』を上映する映画館の一部でセル画が配布されると知った筆者はそういう理由で、公開の前日、仲間と晩御飯を食べ終わったくらいに映画館に集合しようと言っていたのですが、すでにお昼過ぎには並んでいる人が何人かいると聞き、夕方にあわてて並びに行ったことを憶えています。夜から並ぼうと思った理由は、その日に放送される『仮面ライダースーパー1』を楽しみにしていたからでした(笑)。それも普通の回でなく、話も佳境だった「緊急指令!ファイブ・ハンドを奪え!!」だったせいです。

 その回をあきらめて並んだおかげで、自分たちは何とか20番台に並べました。ところが別の人から、いきつけの模型店で新発売の「1/144ジオング」が今夜入荷するから取りに行こう……という話になります。お店は徒歩で数分の場所だったので、筆者は順番を仲間に任せて買いに行き、ふたたび待機列に戻りました。

 すると、知らない人たちから「そのジオングはどこで買ったの?!」と聞かれ、筆者は素直に答えてしまいます。それを聞いた人たちは列から離れ、本来閉店してる時間の模型店に駆け込みました。その後、待機列にはジオングの箱を持った人がいっぱいになります。そして数日後、模型店のおじさんから「翌日売る分までなくなって大変だったんだぞ」とボヤかれてしまいます(笑)。

 そうこうして夜が明けて、劇場に並んだ人数は500人近くになりました。一度の上映で入りきれない数だったので、並んだ人のなかには2回目の上映まで待つ人もいたわけです。

 筆者は徹夜明けだったにも関わらず、一度も眠くならず初めて劇場で見る『ガンダム』に終始大興奮でした。ちなみに、もらったセル画は全員、コア・ファイターに乗り込むため茂みをよけていたアムロでした。同じ場面の連番だから、ケンカにならなくてよかったと喜び、家に帰ると2日分の睡眠をとりました。

 こうして、劇場版はどこも公開初日から大賑わいで、ガンダムブームの熱は2作目への期待もあって、冷めるどころかますます盛り上がっていきます。この2作目についてのエピソードは、またの機会にお話しいたしましょう。

(加々美利治)

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