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「MILLION TAG」をきっかけに、少女マンガ編集者も前に出たい…「マーガレット」ハタケヤマさん

『SPY×FAMILY』『怪獣8号』『終末のハーレム』など数々のヒット作を生み出している「少年ジャンプ+」は、マンガアプリのなかでますます大きな存在感を示しています。この2021年には、集英社の編集者と挑戦者がタッグを組んで優勝を目指す新たな漫画賞「MILLION TAG」が開催されます。企画に参加する編集者たちの声を紹介します。

「恋愛×○○」で、作家さんの強みを引き出したい

お話を伺った、「マーガレット」編集部のハタケヤマさん
お話を伺った、「マーガレット」編集部のハタケヤマさん

 マンガアプリ「少年ジャンプ+」が、次世代のスター漫画家を発掘することを目的とした新漫画賞「MILLION TAG」を実施しています。漫画家と編集者がタッグを組んで課題に挑み、作品づくりの過程もYouTubeで配信、優勝者は賞金500万円を手にするほか、「少年ジャンプ+」での連載やコミックスの発売、アニメ版の制作・配信(1話分相当がYouTube「ジャンプチャンネル」で配信)が確約されるなど、異例づくしの取り組みです。

 この「MILLION TAG」の企画には、集英社の少女マンガ誌「マーガレット」の編集者も参加しています。これまで、『ふたりで恋をする理由』『彼女が可愛すぎて奪えない』『アンクールデッド』などの作品を担当してきた、編集者のハタケヤマさんにお話を聞きました。

* * *

――ハタケヤマさまは「MILLION TAG」に参加する編集者の中で唯一、女性向けのマンガ雑誌を担当されています。今回この企画に参加された理由は何だったのでしょうか?

ハタケヤマ 最近は、編集者もSNSで名前を出して活動する方が多いのですが、実は弊社の少女マンガ編集部にはそういう人がほとんどいないんです。そこで、こういう機会に外に出て行って、「集英社の少女マンガ編集部にはこういう人がいるんだ」「こういう作品があるんだ」と思ってもらえるチャンスだと思い、手を上げさせていただきました。

――普段は少女マンガを担当されていますが、今回は少年マンガの作品づくりに関わることになります。少女マンガと少年マンガの違いについて、どのようにお考えでしょうか?

ハタケヤマ 少年マンガには男性漫画家も女性漫画家もおられますが、少女マンガの漫画家さんは女性が主であるという点は、大きな違いかもしれません。広い目で見れば、もちろん男性の少女マンガ家さんはいらっしゃると思いますが、私が携わっているのは基本的に女性のみなのが現状です。

 それから、少女マンガを描く漫画家さんは、バトルやぶつかり合いよりは恋愛や感情の繊細な部分を描きたい方が多いという印象があるので、打ち合わせの時にも恋愛経験や感情の動きを話す機会が多いかなと思います。

――漫画家さんとのやりとりで心掛けていることはありますか?

ハタケヤマ その漫画家さんがどんな才能や魅力を持っているのかを意識して、打ち合せをするようにしていますね。本人が気づいていなくても、すでにデビューをしている、あるいは担当者がついている方には必ず良い部分があるので、その良いところを見つけて引き出したいと思って接しています。

 自分が担当している漫画家さんですと、『アンクールデッド』の緒川あお先生は、もともとミステリーを描きたいと強く思っている方ではなかったんです。でも、緒川先生と話をしていて、「人に対する考え方や、世の中に対する価値観が多様な部分が面白い」と感じたので、恋愛のみを軸に描くよりも、ミステリーなど少し意外なジャンルや設定を取り入れて、人間のさまざまな感情を描いていただきたいと思いました。

 ただ、メインキャラクターに関しては、「少女マンガ読者」が期待する部分である恋愛にいつ発展してもおかしくない関係性にしたいと思ったので、バディを組んでいる形にしましょうと、連載に向けて打ち合わせをさせていただきました。

――「好き」と「得意」は違う場合もあるのですね。

ハタケヤマ でも、少女マンガ読者が恋愛を期待しているという前提は必要だと思います。同じくマンガ家さんも恋愛を軸に描きたい方が多いかとは思うのですが、恋愛をそのまま描くのではなくて、どんなフックをつけたらいいか、どんなジャンルを組み込めばその人の良さが生きてくるのかを、一緒に考えるようにしています。

【画像】恋愛の難しさ・多彩さに共感必至!「マーガレット」ハタケヤマさんの担当作品(4枚)

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