『ガンダムF91』上映から30年…誰もが「続編」を期待、背景には製作の事情も
新世代のガンダムを目指して誕生した劇場アニメ『ガンダムF91』は、新機軸を盛り込んだ意欲的な作品として完成しました。しかし、その内容は多くの観客に「続編」を期待させるものでしたが、果たして登場した「続編」は予想外の展開となりました。
MSのサイズ変革も行われた、『F91』
本日3月16日は、30年前の1991年に劇場版『機動戦士ガンダムF91』(以下F91)が公開された日です。本作は『機動戦士ガンダム』の映画化10周年を記念して製作された劇場版で、これまでとは違う新しいガンダムシリーズを目指していました。
この新しい『ガンダム』を作るという意気込みは、ガンダムシリーズの新生という意味でもあったのです。そのため、富野由悠季監督のもと、キャラデザインの安彦良和さん、メカデザインの大河原邦夫さんという、『ガンダム』を作り上げた象徴である3人が久しぶりに集合しました。
また、作品世界も宇宙世紀ではありますが、アムロとシャアとの最後の戦いとなった『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』から30年後、これまでのシリーズに出演したキャラクターが一切出てこない舞台となります。つまりシリーズものではあるものの、前作とのつながりが極めて薄い世界観が用意されました。
もともと本作はテレビシリーズの予定で企画されたものでしたが、途中から「ガンダム映画化10周年記念作品」と変更されます。そこで1クール分にあたるストーリーを劇場用に簡略化していました。ストーリーのなかで唐突感がある展開や、セリフで説明する部分が多いのはそのためです。
また、目に見える大きな変更点として、本作からMS(モビルスーツ)のサイズが変わりました。最初に登場した一年戦争時代のMSはおよそ18m。その後、可変タイプや大型MSが増えて、MSのサイズは20m以上にまで大きくなります。
しかし、富野監督は模型にしたときに人間を絡めてジオラマにしやすいという理由から小型化に踏み切りました。本来なら『聖戦士ダンバイン』のオーラバトラーのように10m以下にまでサイズダウンしたかったのですが、商品展開上そこまではできなかったそうです。そのため、本作から登場するMSはおよそ15m程度になります。これにより以降の宇宙世紀MSは基本的にこのサイズに統一されました。
このサイズダウンで、ガンプラは主力商品のサイズが従来の1/144から1/100となります。この時、バンダイは小型化によるガンプラのコストダウンや価格の引き下げを狙っていました。しかし、ボールジョイント型ポリキャップや色プラ、二重関節などの技術向上があったため、価格の高騰を抑えることができずに終わっています。
後に富野監督が製作した『機動戦士Vガンダム』では、ふたたび1/144を主力商品とすることで、全体的な価格の引き下げには成功しています。