シリーズ人気を確立した『プリキュア5』の功績。「ふたり」でなくなった大変革とは
「プリキュア」シリーズ存続の危機に、大胆な改革で人気を不動のものとした『Yes!プリキュア5』。その変革したものと、後のシリーズに与えた影響とは何だったのでしょうか。
シリーズ存続のため変革した作品『プリキュア5』
本日2021年3月20日(土)公開の『映画 ヒーリングっど プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!』では、先日、最終回を迎えたシリーズ第17作『ヒーリングっど プリキュア』がメインで活躍しますが、ゲストプリキュアとして第5作『Yes!プリキュア5GoGo!』(以下GoGo)のメンバーも登場します(※)。
プリキュアシリーズのなかでも人気の高いプリキュア5チーム。その最初のシリーズである第4作『Yes!プリキュア5』(以下、5)は、プリキュアを現在のような一大コンテンツにした立役者でした。
第3作である前番組『ふたりはプリキュア Splash Star』(以下SS)は、商業成績ではあまり数字が出ず、本来なら2年目が予定されていたのですが、次回作は新しい作品となることが決まります。そのため、プリキュアシリーズ第4作は大胆な改革が迫られました。
まず、「相棒」だったプリキュアが「チーム」に変わります。そのため、タイトルの「ふたりは」が外れ、5人チームになりました。
しかし、第2作『ふたりはプリキュア Max Heart』(以下MH)は追加メンバーのシャイニールミナスを加えて3人。前作『SS』では満と薫を入れて4人と考えれば、5人という数字は順調にひとりずつ増えた結果かもしれません。
この「ふたりは」をタイトルから外すことはスタッフも悩んでいたようですが、シリーズを存続させるために決断したと言われています。
それは、21世紀以降の人気シリーズだった『デジモンアドベンチャー』、『おジャ魔女どれみ』がともに第4作でシリーズを一時終了していたことから、プリキュアも第4作で終了させて嫌な前例にしたくなかったのかもしれません。
そのためか、本作ではそれまでのシリーズでやらなかったことを次々に取り入れました。「ふたり」でなくなったことでプリキュアへの変身、決めセリフ、決め技などを個々に設定しています。これによりひとりひとりのドラマを掘り下げるエピソードが増え、結果的にメンバーの個性が際立ちました。
また、プリキュアで定番となっている色分けが明確になったのも本作からです。本作からリーダーはピンク、情熱的な赤、理知的な青など、スーパー戦隊のような形になりました。スーパー戦隊と明らかに違うのはリーダーが赤でなくピンク、紫がよく使われていることです。これは女の子の好きな色彩に合わせているからでしょう。
これまでパートナーとしてお世話をする対象だった妖精が、イケメン男子に変身するというのも本作の大きな変更点でした。これにより淡い恋愛要素も作品に加わります。
※正式には、『ヒーリングっど プリキュア』の、「ヒーリングっど」と「プリキュア」の間には、ハートマークが入ります。