令和に残った「小学一年生」と「8年生」。カオスな誌面も招いた「不変のテーマ」とは
「男女共通の総合雑誌」という役割を終える

さて「男女共通の総合雑誌」という役割を果たしてきた学年誌ですが、年々と発行部数が減少していきます。2010年には「小学五年生」と「小学六年生」、2012年には「小学三年生」と「小学四年生」、2016年には「小学二年生」が休刊。現在は「小学一年生」と全学年対応の「小学8年生」のみの刊行となっています。
休刊理由はさまざまですが、やはり少子化の影響は大きいと考えられます。弟(妹)が兄(姉)の学年誌を読み、少しだけ大人になった気分に浸るといった貴重な経験もできたのが学年別システムの画期的なところでしたが、少子化が進めばそれも叶いません。さらに、Webの時代に至ってニーズが“急激に”細分化した昨今、「男女共通の総合雑誌」という企画自体を維持していくことが難しくなっていったというのが現状のようです。
とはいえ、暗いニュースばかりではありません。生き残った「小学一年生」はコロナ禍において売り上げを伸ばし、「ピッカピカの1年生」のCMソングも復活し絶好調です。また新規参入の「小学8年生」も、毎号の付録や攻めた企画で注目を集めています。
なお、同シリーズのもうひとつの特徴なのですが、本稿を読めばお分かりの通り、学習雑誌、学年誌、小学生シリーズと、呼称がなかなか安定しない点も、また奥ゆかしい限りです。もうすぐ小学館も100周年。「ピカピカの1年生」だった元・少年少女たちとともに、記念すべき日を迎えたいものです。
(片野)