マグミクス | manga * anime * game

『デッドプール』はなぜ愛される? ディズニーにR指定を持ち込んだ、狂気のヒーロー

コメディの概念を持ち込むキーワードは「第四の壁」

制作が発表されているドラマシリーズ『シーハルク』 (C)2021 Marvel
制作が発表されているドラマシリーズ『シーハルク』 (C)2021 Marvel

『デッドプール』が持つ「第四の壁の認知」の能力は、実はマーベルでは彼だけのものではありません。今後計画されているマーベル映像作品のなかにも、その能力を持つ者がいます。

 最も有名なのは、「Disney+」での配信が決定したドラマ『シー・ハルク』の主人公であるシー・ハルクです。ハルクと同じ怪力能力を持ちながら、スーパーヒーロー専門の弁護士としても活躍するという女性ヒーローですが、やはり自分がコミックの登場人物であることを理解しています。

 実はデッドプールよりも先に、作者や読者に語りかけることをしていたのが彼女で、読者に対して「私の本を買わなかったら……」などと脅しをかける場面も。ドラマは法廷コメディというジャンルになるそうで、この第四の壁を使ったユニークな掛け合いが見られるかもしれません。

 他にも、スーパーヒーローがコミック誌や映画などのなかにしかいない世界からマーベルの世界へとやってきた少女……という設定で活躍する「グウェン・プール」というキャラクターも、登場後に第四の壁を超える能力が発現します。

 マーベル世界に異常に詳しいオタクな彼女は、コミック世界の外へ飛び出たり、敵をコミックの外に落としたりできるようになり、コミカルな動きを見せます。「マーベル世界はキャラクターがいるだけ」と知っているからか、自分以外の他者の命を軽く見ており、デッドプール同様にモラルに問題のあるキャラクターになっています。

 さらに、マーベルキャラクターのなかでも屈指の人気を誇るヒロインの「スクイレルガール」も同じ能力も持っています。30年ほど前にアイアンマンのサイドキック志望の女学生として登場した「リスと同じ身体能力」「リスと意思疎通できる能力」をもつキャラクターで、可愛さとは裏腹に凶悪なヴィラン達を次々と瞬殺(戦闘シーンは見せない)するというインパクトが相まって、ファンの間でギャグキャラとして定着しています。

「第四の壁」を認識しているキャラクターに共通するのは“コメディ”です。今後のマーベルの映像作品群(MCU)の展開に「コメディ路線」が入っていることから、映像化が決まっていないキャラクターの登場も実現するかも知れません。異質な存在だからこそ、作品に新しい面白さを加えてくれる魅力も放っている彼らの登場を楽しみに待ちたいところです。

(大野なおと)

【画像】デッドプールに続くか? 観客に語りかける能力をもつキャラクターたち(5枚)

画像ギャラリー

1 2