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造形のプロに聞く、「ウルトラ怪獣名鑑」のすごさ。「単なるシーンの立体化ではない」

シリーズ累計1000万個を売り上げた奇跡の食玩「ウルトラ怪獣名鑑」シリーズ。食玩ブームに湧いた2000年代初頭、果たしてこれがどれほどすごいものだったのか。一般消費者目線、そして造型のプロ目線でそれぞれ解説します。

塗り、造形、台座、テーマ…驚きのクオリティが200円で

2019年に復刻された「ウルトラ怪獣名鑑 - 希望の轍編 -」(バンダイ)のパッケージ
2019年に復刻された「ウルトラ怪獣名鑑 – 希望の轍編 -」(バンダイ)のパッケージ

 今から約20年前、食玩ブームのなかで革命的な商品が発売されました。その名も「ウルトラ怪獣名鑑」(バンダイ)。ミニジオラマ風の台座とウルトラ怪獣のフィギュアがセットになった、超ハイクオリティの“デスクトップジオラマ”です。

 本シリーズは2002年から2007年にかけて「ウルトラ怪獣名鑑ウルトラセブン編」「帰ってきたウルトラ怪獣名鑑」と、実に25タイトルも展開され、シリーズ累計1000万個を売り上げました。2019年には復刻版も登場し、今なお根強い人気を誇り、フィギュア界に革命を起こした食玩(お菓子のおまけオモチャ)として語り継がれています。

 一体、何がどう革命だったのでしょうか。その解説に入る前に、まずこの「ウルトラ怪獣名鑑」が発売された時に起こっていた“食玩ブーム”について簡単に振り返りましょう。

 2000年代初頭にかけて、日本は空前の食玩ブームにありました。火付け役となったのはチョコエッグに代表されるリアルな造形のフィギュアです。もちろん昭和時代から精巧な造りのフィギュアは一部の好事家から高い支持を集めていましたし、逆にグリコキャラメルに代表されるような「おまけ付きお菓子」も、子供たちにとっては定番でした。

 この両者の需要を同時に満たしたのが、食玩ブームに代表されるハイクオリティフィギュアであり、造形企画製作会社の海洋堂に大きな注目が集まったのも、まだ記憶に新しいかと思います。

 さて、こうした時代に産声をあげたのが「ウルトラ怪獣名鑑」でした。革命的だった点は、前述した「台座」の存在です。バンダイからは以前より「HGシリーズ」としてリアルなカプセルトイがリリースされていましたが、そこに岩場やビル群などのジオラマが付属するだけで、卓上が円谷作品の世界に様変わりしたのです。

 そして最大の革命はなんといっても、200円という値段設定です。これは小学生のお小遣いでも十分手が届く価格で、さほど特撮に関心が高くない層への訴求力も抜群でした。なお、冒頭で触れた復刻版はリアルな造形はそのままに価格は850円と4倍になっていますが、むしろクオリティを見れば妥当な値段に思えます。当時の200円という値段設定がいかに奇跡的だったのかがわかります。

【画像】小さなウルトラ世界が立ち上がる! 復刻された「怪獣名鑑」の怪獣たち(6枚)

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