造形のプロに聞く、「ウルトラ怪獣名鑑」のすごさ。「単なるシーンの立体化ではない」
プロの造形師が「ウルトラ怪獣名鑑」で注目したのは…

ここまで一般消費者目線から「ウルトラ怪獣名鑑」の衝撃を概説してきましたが、造形のプロから見て「ウルトラ怪獣名鑑」はどのように映ったのでしょうか。
「まず、塗りがすごい。200円の値段設定で実現できる色数ではないです。それにクリアパーツの使い方も絶妙。炎などのエフェクトだけではなくジオラマの建物にも用いることで、臨場感がぐっと増しているように思えます」
そう語ってくれたのは、ソフビ原型や怪獣の着ぐるみの製作を担当している“怪獣作家”の男性。さらに続けて、「ウルトラ怪獣名鑑」が持つ特別な魅力についても語ってくれました。
「名鑑は劇中のワンシーンを切り取り立体化したわけでなく、あくまでもウルトラ怪獣(星人)が映えるよう再構築してデザインされている。そこが何よりも魅力です」
確かに改めて眺めてみると、必ずしも劇中のシーンの「再現」ではないことがわかります。造形担当者のあふれんばかりの怪獣愛があってこその「立体映え」が実現したといえるでしょう。
現在もこの「ウルトラ怪獣名鑑」シリーズは人気が高く、ネットでは高値で取引されているケースも見られます。だからこそ、100円玉2枚でプロをも唸るジオラマが買えたあの数年間を、記憶の名鑑として留めておきたいのです。
(片野)