『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』“影の主役”4人 主人公の成長に欠かせない人々
映像の美しさや、感動必至のストーリーから大人も“涙腺崩壊”すると話題のアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』。劇場版もロングラン上映、芸能界にも多くのファンがいるなど大きな注目を集めました。そんな同作の主人公・ヴァイオレットを支えた“影の主役”たちを4人選んでご紹介します。
ギルベルト少佐から託された想い…成長を優しく支える“お人好し社長”

2021年2月、国際アニメーション映画祭『東京アニメアワードフェスティバル 2021』の「アニメ オブ ザ イヤー部門」より、最も優れた作品を表彰する作品賞の劇場映画部門で『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が受賞するなど、大きな話題を集めるアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』。
同作は、大戦が終結したばかりのとある港町が舞台。軍人として戦場で活躍した美少女、ヴァイオレット・エヴァーガーデン(CV:石川由依)が物語の主人公です。孤児で言葉も知らなかったヴァイオレットは幼い頃から戦場に身を置いていたため感情の起伏が乏しいのですが、戦争で生き別れた大切な人で彼女が「少佐」と呼ぶ上官、ギルベルト・ブーゲンビリア(CV:浪川大輔)を思い続ける、心の機微を美しく描いた物語です。
最期にギルベルト少佐から言われた「愛してる」の意味を知るべく“ドール”と呼ばれる自動手記人形サービス、手紙の代筆をする日々が描かれています。
この記事では、そんなヴァイオレットの成長に欠かせない“影の主役”を4人選んでご紹介します。
●クラウディア・ホッジンズ(CV:子安武人)
ギルベルトの士官学校時代からの旧友で、戦後は軍を離れて郵便社「C.H郵便社」を創立したクラウディア・ホッジンズ。ギルベルトから託されたヴァイオレットを迎えに病院に行き、ギルベルトの親戚筋であるエヴァーガーデン家に養子として紹介し、自社の仕事を紹介した恩人のひとりです。
また、ギルベルトの死を知り、戦争跡地でひとり途方に暮れていたヴァイオレットを迎えに行くなど、面倒見が良く優しい性格はまるで“父親”。ヴァイオレットの成長を支えて見守るホッジンズからは、名言も多く飛び出しました。
第1話でヴァイオレットに対して「これから君はたくさんのことを学ぶよ。知らないほうが楽に生きられるかもしれない。君は自分がしてきたことでどんどん体に火がついて燃え上がっていることをまだ知らない」などと、戦争時代の後悔などで“火傷”していることに気付かせようとした言葉が印象的でした。
また第9話終盤では、ギルベルトの死を乗り越えたヴァイオレットが「私は自動手記人形でいていいのでしょうか? 生きていていいのでしょうか?」という問いかけに「してきたことは消せない。でも、君が自動手記人形としてやってきたことも消えないんだよ、ヴァイオレット・エヴァーガーデン」と、これまで執筆した手紙でたくさんの人を幸せにしてきたヴァイオレットに、涙をこらえながら優しく答えていました。
ホッジンズがいなければヴァイオレットは今頃どうなっていたのか……絶対に欠かせない“影の主役”です。
ヴァイオレットを常に心配してくれる看板ドールの“お姉さん”や、面倒見の良い“兄貴分”的存在
●カトレア・ボードレール(CV:遠藤綾)
「C.H郵便社」でヴァイオレットと一緒に働くドールのひとり。依頼主が言葉にできない繊細な想いを言葉にできることで評判からファンが多く、後輩たちの面倒見も良い“お姉さん”的存在として描かれています。ヴァイオレットに“ドール”の仕事や、初めて触るタイプライターの使い方を優しく丁寧に教えていたのが印象的。
作中屈指の美貌を持ち、ホッジンズとは友人以上の関係のような描写があるため、その真相が気になるキャラクターのひとりでした。
ギルベルトの死を知って部屋に引きこもってしまったヴァイオレットを心配して「少しでいいから顔を見せて」と声をかけ続けたり、食事の差し入れしたりなど、後輩のなかでもヴァイオレットのことを特に気にかけている様子。また、ヴァイオレットに“火傷”していることを伝えたホッジンズを「あの子の境遇を考えたら仕方のないことだったじゃない!」と責めるシーンも描かれました。
ヴァイオレットが一人前のドールとして活躍するための一助を担っている“影の主役”です。
●ベネディクト・ブルー(CV:内山昂輝)
ホッジンズとは旧知の仲で「C.H郵便社」で働くひとり。ドールではなくポストマン(配達員)として働いており、入社後すぐポストマンに配属されたヴァイオレットの作中最初の先輩です。いつもなぜかヒールのブーツを履いているのがトレードマーク。
初登場時は口調と態度が悪い印象でしたが、ヴァイオレットに制服から仕事内容まで、なんだかんだ手取り足取り教える“兄貴分”的存在。また『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形-』では孤児院から抜け出した少女・エイミーから尊敬され「師匠」と呼ばれるなど、どんな人に対しても面倒見の良さがたびたび目立つ人気キャラクターです。
ヴァイオレットがドールになってからも、落ち込んでいるところをなだめたり、アニメ第13話では橋から落下しかけたヴァイオレットの命をたぐいまれな身体能力で助けたりと、“影の主役”に欠かせないひとりです。
●ローダンセ(CV:野沢由香里)
最後は「C.H郵便社」以外からご紹介。ヴァイオレットが通っていた名門自動手記人形育成学校のローダンセ教官。厳しいことで有名な女性教官で、ヴァイオレットにドールとは何たるかを教えました。
学科の成績もよくタイプのスピードも速く正確なヴァイオレットですが、文章力については「これでは報告書」だとダメ出し。「良きドールとは人が話している言葉のなかから、伝えたい本当の心をすくいあげるもの」と心得を教え、人の想いを書き写せないヴァイオレットの卒業を認めませんでした。
しかしその後、ヴァイオレットが書いた、仲良しのクラスメイトであるルクリア・モールバラ(CV:田所あずさ)から兄へ向けた手紙を読んだローダンセ教官は「ずっと言えなかった兄への想い」を高く評価し、卒業を認定。
その後もヴァイオレットの実力を高く買い『ヴァイオレット・エヴァーガーデン スペシャル』では、ローダンセ教官から「彼女なら今を生きる人々に届く恋文を書けるかもしれません」と推薦された人気オペラ歌手から恋文の代筆の依頼が届いていました。
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以上、ヴァイオレットの成長に欠かせない“影の主役”を4人ご紹介しましたが、エリカやアイリスなどの先輩ドール、ベテランポストマンのローランドなど、紹介したい人はまだまだ存在します。みなさんは、どのキャラクターが好きですか?
(中島憲太郎)