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半世紀前の昭和46年は「特撮黄金時代」の始まりだった。同じ時間枠で競い合った番組も…

今から50年前の昭和46年に生まれた特撮作品は、その後に大きな影響を与えた作品ばかりでした。そして、テレビだけでなく出版業界も巻き込んだ「特撮ヒーロー黄金時代」を生み出したのです。

「意外なヒーロー」から幕を開けた黄金時代

昭和46年4月に放送開始した『帰ってきたウルトラマン』 のHDリマスター版 (C)円谷プロ
昭和46年4月に放送開始した『帰ってきたウルトラマン』 のHDリマスター版 (C)円谷プロ

 今年2021年から半世紀前となる昭和46年(1971年)は、後にテレビ特撮ヒーローたちが活躍することになる時代のはじまり、すなわち黎明期です。それはまさに「特撮ヒーロー黄金時代」の幕開けでした。

 まずは時代背景を説明しましょう。「第一次怪獣ブーム」は一般的には『ウルトラセブン』(1967年)を最後に幕を閉じたと言われています。その後、怪獣と近い存在だった妖怪が中心の「妖怪ブーム」、それと同時に海外作品の影響もあって「スパイもの」がブームの兆しを見せ、それを経て子供たちの興味はスポーツ根性ものに移りました。いわゆる「スポ根ブーム」です。

 しかし、子供たちの怪獣への興味がなくなったわけではありません。映画で定期的にゴジラシリーズが製作されていたことからもわかります。一時期ほどではないにしても、怪獣関連グッズはセールスを続けていましたし、再放送も比較的多く行われていました。

 そんな時、ウルトラシリーズの再編集作品である『ウルトラファイト』(1970年)が、ふたたび怪獣ブームに火をつけます。この放送をきっかけに怪獣ソフビ人形の売れ行きが急増したことで、玩具会社ブルマァクは円谷プロとTBSに新番組制作を依頼しました。

 このような背景があって時は昭和46年と移ったのですが、最初に子供たちの前に現れたヒーローは、まったく別の作品だったのです。その特撮黄金時代の輝かしい第一作は、『マグマ大使』(1966年)を制作したピー・プロダクションの作品、1月2日から放送された『宇宙猿人ゴリ』でした。それはまったくの偶然で、前番組が突然の打ち切りによる制作決定で、第1話放送まで1か月も時間がなかったといいます。

『マグマ大使』が『ウルトラマン』(1966年)より13日前に放送したことで「日本初のカラー放送された特撮番組」という栄冠を得たように、またしてもピープロとフジテレビは、円谷プロとTBSに先んじて動いたのでした。

 ヒーローでなく悪役の名前をタイトルにし、当時の社会問題であった「公害」を題材にした斬新な作品でしたが、そこを嫌ったスポンサーからの抗議で路線変更を強いられてしまいます。それによりタイトルは『宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン』に変わり、最終的には『スペクトルマン』となりました。

 しかし、それまでにない独自色の強い作品は、すぐに子供たちから注目されて人気を得ます。裏番組はスポ根ものの代表作『巨人の星』(1968~1971年)。ところが、番組開始して3か月ほどの第15話で高視聴率を誇っていた『巨人の星』を視聴率で追い抜き、スポ根ブームにとって代わる勢いを見せました。

 そして4月に入り、伝説的な作品でありシリーズである、ふたつの番組が始まります。

【画像】振り返れば大豊作だった! 昭和46年に登場した特撮作品たち(5枚)

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