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半世紀前の昭和46年は「特撮黄金時代」の始まりだった。同じ時間枠で競い合った番組も…

特撮ヒーロー同士の切磋琢磨が歴史を紡いでいく

昭和46年秋に放送開始した『シルバー仮面』。画像は「放送開始45周年記念企画 甦るヒーローライブラリー 第24集 シルバー仮面 Blu-ray Vol.1」(TCエンタテインメント)
昭和46年秋に放送開始した『シルバー仮面』。画像は「放送開始45周年記念企画 甦るヒーローライブラリー 第24集 シルバー仮面 Blu-ray Vol.1」(TCエンタテインメント)

 同年4月2日放送開始の『帰ってきたウルトラマン』、4月3日放送開始の『仮面ライダー』、この2作品がブームをけん引します。その過熱ぶりは当時の子供なら誰もが体験したことでしょう。ウルトラマンと仮面ライダー、現在もシリーズとして切磋琢磨する二大ヒーローがはじめて邂逅(かいこう)したのが昭和46年のことだったのです。

 そして季節は秋、ふたつの特撮番組が今度は同じ時間帯で競い合うということになりました。11月28日に放送開始した『シルバー仮面』と、12月5日に放送が始まった『ミラーマン』です。

 このふたつの番組が競い合うことになったのは、日曜19時からの30分枠。かつてウルトラシリーズが放送されていた時間帯でした。かたやウルトラシリーズが放送されていたTBSの『シルバー仮面』、かたや円谷プロ製作の『ミラーマン』という同門対決は、視聴率争いをするテレビ局にはよかったのでしょうが、録画機器が普及していない当時の子供には迷惑な話です。翌日の学校では、それぞれの番組を見た子供たち同士が自慢しあう光景がよく見られたと聞きました。

 そして、ヒーローではありませんが、もうひとつ意欲的な作品が生まれています。10月3日から放送された『好き! すき!! 魔女先生』です。東映不思議コメディシリーズの始祖とも呼べる存在で、後半から登場するアンドロ仮面はバトルヒロインものの元祖といっても過言ではないでしょう。少なくとも当時の子供たちにとっては、前述したヒーローたちと同様の感覚で見ていた作品でした。

 このブームを受け、年末には歴史的な書籍も発売されます。ひとつは講談社の「テレビマガジン」。『仮面ライダー』をメインに、写真やイラスト中心で構成された誌面は子供たちから絶大的な評価を得ました。その代わり、これまで特撮番組のグラビア特集などを組んでいた「少年マガジン」は、この雑誌ごとの年齢層の明確化によってマンガ中心の雑誌へと変わっていきます。

 もうひとつは勁文社(ケイブンシャ)の「原色怪獣怪人大百科」。ポスター状の紙面を八つ折りにして、怪獣怪人をカラーでひとつずつ紹介する形式の書籍です。すべての怪獣怪人が全部見ることができる構成が子供には好評でした。毎年、新しく登場した怪獣怪人が加えられ、やがて豆本サイズの「全怪獣怪人大百科」へとリニューアルされます。この本が昭和の子供たちがよく読んでいた「大百科シリーズ」の元祖でした。

 このように半世紀前の昭和46年に生まれた作品たちが、その後の特撮ヒーローの歴史に大きな影響を与えたことは明白です。この当時に作られた作品には言葉だけでは言い尽くせない、熱い魂のようなものが込められていたと筆者は感じています。

(加々美利治)

【画像】振り返れば大豊作だった! 昭和46年に登場した特撮作品たち(5枚)

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