青野武さんの御命日に思い出す、代表的キャラクター。宇宙人の「中身」も演じた?
声優の青野武さんがお亡くなりになって9年の月日が流れました。生前、さまざまな演技で私たちを楽しませてくれた青野さん。その代表的なキャラを思い出してみたいと思います。
声だけでなく、体でも演じた意外なキャラ
本日4月9日は、2012年に声優の青野武さんが亡くなられた日です。生前、数多くのキャラの声を担当して私たちを楽しませてくれた青野さん。そこで、すべてを挙げきれませんが代表的なキャラたちを思い出してみたいと思います。
声優として日本アニメ黎明期から活躍していた青野さんですが、もっとも古い代表作品はアニメではなく特撮番組でした。それが『ウルトラマン』(1966年)のザラブ星人です。
しかも、キャラの特徴をつかむため、スーツアクターとして実際にザラブ星人の着ぐるみに入って演技していました。まだ当時は声優が役者としての専門業ではなかったとしても驚きの事実です。
このザラブ星人とは縁が深い青野さん。その後のウルトラシリーズにザラブ星人が出てくる際は声優を担当しています。ウルトラ怪獣の活躍シーンを編集した『ウルトラ怪獣大百科』(1988年)でナレーションを担当した際、ザラブ星人の回ではナレーションではなく、ザラブ星人として声を当てていました。
ほかにも青野さんは洋画の吹き替えが多いことでも知られています。クリストファー・ロイド、ジョー・ペシ、ダニー・デビート、ラム・チェンインなどは、よく担当していたのでみなさんもご存じのことでしょう。
そんな青野さんがアニメでレギュラーキャラを演じるようになるのは、意外にも遅くて1974年のことになります。そのキャラが『宇宙戦艦ヤマト』(1974年)の真田志郎と、『破裏拳ポリマー』(1974年)の車錠でした。
クールな知性派で落ち着いた語り口の真田と、破天荒なギャグキャラでアドリブの多い車という、まったく違う個性を持っているキャラを演じることになった青野さん。この両極端のふたりが、それぞれ青野さんの声優としての魅力を表現しているキャラではないでしょうか。
この後、多くのキャラを演じる青野さんですが、この沈着冷静でギャグとは縁遠いスタイルと、アドリブ多めのはじけた性格のそれぞれで代表作を増やしていくわけです。時にはその両方を持つキャラも演じていて、青野さんだから魅力的に見えるキャラを次々に生み出していきました。