『シン・仮面ライダー』で特撮三冠の庵野監督がもたらした衝撃。「もはや期待しかない」
公開されたキービジュアルに描かれた仮面ライダーには、哀愁が漂っています。そう、仮面ライダーは哀しみで魅せる存在なのだと、ひと目で分からせる見事な一枚絵でした。このビジュアルを見るだけで、庵野監督の本作にかける意気込みと、ライダーに対する深い愛情が伝わってきます。
それにしても庵野監督は、これで2016年公開の『シン・ゴジラ』、2021年公開予定を調整中の『シン・ウルトラマン』、そして2023年公開予定の『シン・仮面ライダー』と、日本が誇る特撮シリーズで三冠を達成しています。庵野監督の大学時代の同窓である漫画家の島本和彦氏もツイッターで色々と叫んでおられましたが、特撮を愛するクリエイターの方であれば誰もが参加をうらやむ作品群です。『シン・ウルトラマン』こそ企画・脚本としての参加で、監督は樋口真嗣氏が務めるものの、それは些細なことです。庵野監督のことですし、現場で動き回っているに違いありません。
なお、『シン・仮面ライダー』の企画は庵野監督自身が東映に持ち込んだものです。時期を考えれば『シン・エヴァンゲリオン』『シン・ウルトラマン』と並行で進めていたという事でしょう。なんという超人ぶりでしょうか。NHKスペシャルでエヴァの現場にあまり姿を見せなかった理由がよくわかります。
本来はもっと近い時期に上映される予定だったそうですが、残念ながら他の作品と同様に新型コロナウイルスの影響により製作も上映も伸びてしまっています。しかし、『シン・エヴァンゲリオン』も製作期間が延びたことにより新たな要素が追加されたことが明かされています。公開延期はむしろ庵野監督にさらなる時間が与えられ、より素晴らしい『シン・仮面ライダー』を作り上げるための追い風になるのではないでしょうか。
さて、まだ気が早い話ですが『シン・仮面ライダー』を作り終えたら次に庵野監督は何をされるのでしょうか。あとは「スーパー戦隊」と「ガメラ」、それに「メタルヒーロー」までやっていただければ完璧です。かつて自主制作作品として作られた『愛国戦隊大日本』に特撮として参加されてはいますが、これはとりあえずノーカンということにしておきましょう。もっと新しいものを見せて欲しいのです。
とにかく期待しかありません。今から2023年が待ち遠しいのですが、さらにその先には何が待っているのか、今から楽しみでたまりません。
(早川清一朗)