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『スラムダンク』陵南・田岡茂一監督は理想の指導者? 作中の言動でわかる、優れた能力

優れた人格、能力の持ち主

『SLAM DUNK』作中では、選手たちを指導する監督たちの心理もたびたび描かれる。画像は「SLAM DUNK 新装再編版」第4巻(集英社)
『SLAM DUNK』作中では、選手たちを指導する監督たちの心理もたびたび描かれる。画像は「SLAM DUNK 新装再編版」第4巻(集英社)

 その後も事あるごとに登場する田岡監督ですが、練習に関しては極めて厳しく、海南大付属との試合前に練習量を思い出した選手たちが吐きそうになるほどでした。その反面、高頭監督との関係を語った際、「今でいえばオレが仙道」と自分を仙道になぞらえたときに、選手たちは一斉に「ウソだ!」と指さしています。

 当時のスポーツ指導者として、選手たちがこういった態度を取れる雰囲気作りにも成功していることが、厳しい練習にも選手たちがついてくる、優れたチームマネジメント力を示しているのではないでしょうか。

 もちろん、田岡監督も人間ですからミスはあります。福田のプライドの高さを理解できず、部活から追いやらなければいけなくなるといったミスもありましたが、その後きちんと復帰を認めていることからも、かなりの人格者であることが伺えます。

 選手たちが気の抜けた態度を見せれば怒鳴りつけるなど感情的なところもありますが、新入生だった魚住がくじけそうになった時、その気持ちを理解して寄り添い、励ましたシーンなどは、田岡監督が厳しいだけの人間ではないことを示すシーンでしょう。

 そして最後、湘北に敗れて全国大会への出場を逃した際には、小暮と桜木への対応を誤ったと語り、「敗因はこの私!! 陵南の選手たちは最高のプレイをした!!」と潔く自らの責任を認めています。

 また、監督としてはスカウティングにも熱心で、それを通じて湘北とは浅からぬ因縁を持っていることも明かされます。

 湘北のスタメンである三井、宮城、流川を3年連続でスカウトしたものの、三井と宮城には安西先生のもとでバスケがしたいと断られ、流川には単に湘北の方が「近いから」と袖にされてしまっています。それでも構想したチームと互角以上に戦えるだけのチームを作り上げた点も、見逃せないでしょう。

 熱意を持って仕事に当たり、能力も高く、人格にも優れ、失敗の責任はきちんと認める。

 当時の読者のなかで、「自分は田岡監督レベルに達している」と言い切れる方はそう多くはないでしょう。少なくとも筆者は足元にも及びません。田岡監督のような人物に出会うこと自体、極めてまれなような気がします。

 若いころは流川や桜木に憧れたものですが、歳をとった今となっては、むしろ田岡監督のような人物に憧れます。そう考える方も少なくないのではないでしょうか。

(ライター 早川清一朗)

【画像】大人になった今こそ振り返りたい、『スラムダンク』の指導者たち(5枚)

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