昭和のマンガのなかのグルメ3選。子供たちが憧れたのには「背景」があった
昭和の子供たちが夢中になったマンガのなかに登場する食べ物は、実際には味わえないぶん想像力をかきたてられ、妙においしそうに見えたものです。あなたにも、子供の頃から憧れ続けたマンガグルメがありませんか?
食べられないからこそ熱望、マンガグルメの味

夜中にうっかりマンガを読んだらお腹がすいて眠れない……そんな飯テロ現象が頻発するほどグルメマンガ隆盛の昨今ですが、昭和のマンガにも、妙においしそうで子供たちの心をくすぐった食べ物がありました。今回は、昭和キッズが憧れた「マンガグルメ」をご紹介します。
●もはやアイコン化した「マンガ肉」
携帯電話やスマホの絵文字でも、「肉」といえばまず出てくるのが、おなじみの骨つきかたまり肉です。今やごちそう肉のアイコンと化していますが、昭和の子供たちにとってはこれが、「憧れ中の憧れ」といえる「マンガ肉」でした。
はっきりとした起源はわかりませんが、登場作品として印象深いのは園山俊二氏のマンガ『はじめ人間』シリーズ(『ギャートルズ』『はじめ人間ゴン』『はじめ人間ギャートルズ』)ではないでしょうか。アニメにもなり、「マンガ肉」をポピュラーにした立役者です。
ギャートルズ平原に住む原始人たちのユーモラスな日常生活が描かれた同作品では、食糧を得るためのマンモス狩りはもっとも重要な仕事で、その成果をみんなでワイワイと味わう場面もたびたび出てきます。今思えば、ただ焼いただけのマンモス肉ですからおいしいはずもないのですが、カレーに入っているお肉もペラッペラの薄切り肉……という昭和の子供たちにとっては、「大きなかたまりの肉」というだけで、とにかくおいしそうに見えたのです。
作品中によく登場したのは、本当は丸い輪切り肉の方だったのですが、骨を手にして豪快にかぶりついてみたい……という気持ちが勝って、骨つきかたまり肉の方が「マンガ肉」として憧れられたのでしょう。今でも、この骨つきかたまり肉の再現にチャレンジしている人は多く、「マンガ肉」は永遠の憧れマンガグルメです。