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『ドラクエ』だけじゃない、すぎやまこういち氏の仕事 “ゲーム音楽”を創った歴史

2021年4月11日に90歳の誕生日を迎えた作曲家、すぎやまこういち氏といえば『ドラゴンクエスト』のイメージを持つ方が多いでしょう。ですが、1960年代から日本の音楽シーンを支えてきたキャリアを無視することはできません。すぎやまこういち氏の手掛けた作品から、天才と称賛されるゆえんを振り返ります。

すぎやまこういちが携わったゲームタイトルだけで、マルチな才能を確認できる

『交響組曲 ドラゴンクエストIII』(アポロン)
『交響組曲 ドラゴンクエストIII』(アポロン)

 2021年4月11日に90歳を迎えた作曲家、すぎやまこういち氏に『ドラゴンクエスト』(以下、ドラクエ)のイメージを持つ方は多いはず。特にシリーズに共通するオープニングテーマでもある『序曲』は、実際に『ドラクエ』をプレイしたことがなくても、誰しもが一度は耳にしたことがあるほど有名な楽曲です。

 しかしながら、すぎやまこういち氏の仕事は『ドラクエ』だけではありません。この記事では、すぎやまこういち氏の携わった作品と手掛けた楽曲の一部から、その類稀なる才能を振り返っていきます。

 まず、すぎやまこういち氏が携わったゲーム作品でご紹介したいのは、スーパーファミコン用ソフト『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』と、その続編『不思議のダンジョン2 風来のシレン』です。

 特筆すべきは、両者ともターン制の戦闘が敷かれたローグライクゲーム、「不思議ダンジョン」シリーズであるものの、その世界観はまるで別物であることです。前者は、ファミコン用ソフト『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』に登場した武器商人トルネコの後日談ということもあり、『ドラクエ』に通じる西洋風な世界観を持っていますが、後者の世界観は和風。根幹のゲームシステムこそ共通していますが、世界観を演出する楽曲の作風にも変更が加えられたことより、両者はプレイヤーに異なった印象を与えることになりました。

 次にご紹介したいのは、1992年に発売されたスーパーファミコン用ソフト『半熟英雄~あぁ、世界よ半熟なれ…!』です。ギャグ色の強いゲームタイトルの楽曲を担当していること自体、提供する作品の毛色を問わない、多面的な才能を確認することができますが……本作が「ファイナルファンタジー」(以下、FF)シリーズを手掛けてきた、スクウェア(当時)から発売されていることも注目したい点です。

 今でこそスクウェア・エニックスとなった両社ですが、1992年のスクウェアとエニックスはライバル関係にありました。つまり、”「ドラクエ」の作曲家”は“「FF」の会社”の作品にも音楽を提供していたことになります。

 とは言え、ゲームタイトルごとに作風を変え、ゲーム会社の垣根を飛び越えることは、すぎやまこういち氏の前では大きな問題ではないのかもしれません。歴史を紐解いていくと、ゲーム作品への楽曲提供に至るまでの間、すぎやまこういち氏は日本の音楽シーンを支え続けてきた存在であることが分かるからです。

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