『鬼滅の刃』伊之助を「ほわほわ」させた4人 回を重ねるごと、見える心の変化
がさつで乱暴で、教養がないという第一印象だった『鬼滅の刃』の嘴平伊之助。しかし彼は、原作・アニメと回を重ねるごとに「意外とかわいいキャラ」として定着していきます。そんな彼の心情の変化を感じられる「ほわほわ」シーンをまとめました。
人と触れ合うことで、心の温かさを知った伊之助
初登場時、あまりの行いに(善逸とはまた違う意味で)ひどい第一印象だった伊之助。猪に育てられ、人とほぼ交流せず育った彼ですが、鬼殺隊の面々と接する内に「人の心の温かさ」を知ります。その触れ合いが、徐々に彼を変えていくのです。伊之助の心情の変化を感じられる、「ほわほわ」させた人たちの登場シーンをまとめました。
※この記事では、まだアニメ化されていないシーンの記載があります。原作マンガを未読の方はご注意ください。
●ひささん
炭治郎たちが鼓の鬼・響凱(きょうがい)の鼓屋敷で負傷した後、面倒をみてくれた藤の花の家紋を持つ家の主・ひささん。彼女は猪の頭をかぶる伊之助にも、優しく接しました。衣服を整えてあげたり、夕飯は後に伊之助にとって大好物となる天ぷらを揚げてあげたり。
物心ついてから初めて、見知らぬ人間の親切に触れた伊之助。その感情をうまく整理できなかった伊之助は、どうしていいか分からずにイライラしてしまいます。
●竈門炭治郎
ひささんの次に、伊之助をほわほわさせたのは、作中屈指の善人・炭治郎。鬼たちが棲まう那田蜘蛛山に同行してくれた伊之助に、炭治郎は屈託なく感謝を告げます。このときも、ひささんのときと同様に感情の整理ができなかった伊之助。
弱肉強食という超シンプルな世界に生きた伊之助は、炭治郎が彼に見せる「同じ鬼殺隊士としての友情」を、うまく受け入れることができません。結果、処理しきれない感情をイラ立ちとして、炭治郎にぶつけてしまいました。
●胡蝶しのぶ
鬼殺隊の蝶屋敷を中心に、活動をするようになった伊之助たち。そこでは蟲柱・胡蝶しのぶを中心としたメンバーが、彼らの治療や世話にあたりました。自分の横柄な態度を叱りつけるしのぶに、伊之助は頭が上がりません。
ケガをしても、無理やりに動いたり縫合を外したりしていた伊之助。しのぶは傷が悪化しないよう、縫合の糸を引き抜かないように伊之助と「指切りげんまん」をして、約束をしていました。原作マンガでは効果音こそなかったものの、優しいしのぶの笑顔が垣間見えるシーンで、「ほわほわ」特有のたんぽぽの綿毛のような絵が描かれていました。
伊之助はその後、回想シーンで「しのぶとはどこかで会った気がする」と感じていることを明かします。そう思ったのは、幼い頃に死に別れた母親を思い起こさせるからだと分かりました。伊之助は生まれてはじめて、しのぶを通じて家族に対する愛情を学んでいたのかもしれません。
●神崎アオイ
鬼舞辻無惨との死闘を終えたメンバーたち。伊之助はこっそり、アオイが用意したご飯をくすねようとします。それがバレてしまった伊之助ですが、「このお盆に乗ってるものはあなた専用ね」と、自分の食べていいご飯を手渡され、とてもうれしそうな表情を浮かべるのでした。作中屈指のかわいさを炸裂させた伊之助に、筆者も悶絶したものです。
このシーンには、「ほわほわ」表現は用いられていません。しかし、これは伊之助が他者からの愛情を、ちゃんと受け入れられるようになったからかもしれません。後に夫婦となる、アオイと伊之助。物語最終盤で、ようやく彼は家族愛や恋愛感情を抱けるまでに、成長したのではないでしょうか。
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鬼殺隊を通じて、自分と同じ人間との交流を深めることになった伊之助。他者への親切心を知り、友情を知り、家族愛を知り、恋愛感情を抱く。その成長の振れ幅は、もしかしたら炭治郎、善逸の仲良し3人組のなかでもっとも大きかったのかもしれません。
(サトートモロー)