【漫画】人間も光合成ができる薬! 他者との関わりを嫌う男子は被験者になるが…
植物のように水だけで生きる身体に変わる薬。引きこもりの主人公は、食料いらずで誰とも関わらない生活を望み、薬の被験者となりますが……。かくたすずさんが切ない作品『明日は葉緑体』をTwitterで公開しています。
誰とも深く関わらない植物のような生き方は幸せか…?

人間が食料を必要としない身体になるための「人類緑化計画」。まるで植物のように水だけで生きられるようになり、光合成で酸素まで生成できるようになる薬を飲む実験です。誰とも関わらずに生きていくことを望む一樹は、この実験の被験者となりますが……。
かくたすずさん(@cactuses_manga)がTwitterで、創作マンガ『明日は葉緑体』を公開しました。読者からは「すごく素敵なマンガです!」「いい意味で心がえぐられるようなものがある」といった感想が寄せられています。
作者のかくたすずさんに、お話を聞きました。
ーーかくたすずさんがマンガを描き始めたきっかけを教えて下さい。
小学校の時、『ポケモン』のマンガが大好きだったのと、友だちやいとこがマンガを描いていたので、真似して描くようになりました。いとことずっと文通していて、小中学生の頃は頻繁に描いたマンガを送り合っていました。ここ数年はイベントに出たり、ありがたいことに編集者さんに声をかけていただいたりもして、何だかんだずっと続けています。
ーー今回の作品のお話はどのように生まれましたか?
講談社の「モーニング」で“未来”というテーマで新人の読切マンガを募集していて、それに応募するマンガとして作りました。
「食べる時間がもったいないな」ともどかしく感じることがたまにあります。でも、「おいしいものを食べるのがうれしい」というのは本能のようなものだし、人間でいる限り食べることからは逃れられないんだろうとも思います。「それなら、食欲のない植物になれたらどうだろう?」と想像したのがきっかけで、今回のようなお話になりました。
人物を中学生にしたのは、中学の頃にカロリーメイトを初めて食べて「これ1個で栄養がたくさん摂れるってことは、わざわざいろいろなものを食べなくていいんだ……」と感動したのを思い出したからです。
ーー作品の2ページめの下方に設けられた大きな余白は、本来は作品のタイトルが入るスペースということでしょうか?
はい。「Dモーニング」に掲載された際には、余白の部分にタイトルロゴが入っていました。権利の関係でTwitterへの投稿はNGとなりましたが、できればタイトルロゴとキャッチコピーが入ったほうを見てほしかったです。ちなみに、この作品は2021年5月から「コミックDAYS」にも掲載されていますが、そちらではタイトルロゴやキャッチコピーも見ることができます。
デザイナーさんの作って下さったタイトルロゴは直線的で無機質な感じが話の雰囲気に合っていてかっこいいし、担当さんによるキャッチコピーは私が話したわけでもないのに私の大好きな宮沢賢治のパロディにしてくださいました。
また、2ページ目を部屋のなかにしたのは、この場所で始まってこの場所で終わる話なんだということを示したかったためです。

ーーエンディングも印象深い作品です。構想の際には、ほかの結末も候補として考えていましたか?
印象深いと言っていただけてうれしいです。実験は成功も失敗もあるものだと思うので、もう片方のパターンだったらどうか……というのは何となく考えていました。
ーー作品に対する読者からの反応で、特に印象に残った声があれば教えて下さい。
「最後が良い」「切ない」などの感想をいただきました。Twitterに投稿されるマンガに短いものが多いなかで、30ページのマンガを最後まで読んで下さったのがありがたいと思いました。「Dモーニング」で公開した際は「星新一さんの小説を思い出した」「世にも奇妙な物語にありそう」という感想もありました。どちらも好きなので、恐れ多いと思いつつもうれしいです。
ーー今後、Twitterで発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか?
出版社に出した読切マンガと、そのほか過去に描いたマンガを公開していく予定です。たまに新しいマンガも描こうと思っています。自分の描くマンガは淡々としていてすっきりしないことが多いので、ボーッとしたい時に見ていただけるとうれしいです。
(マグミクス編集部)
●「コミックDAYS」作品ページ
https://comic-days.com/episode/3269754496296142889