70年代生まれが憧れた、永遠のアニメヒロイン3選。思い出す度に胸が締め付けられる!
少年の心に突き刺さった「未亡人ヒロイン」
●『めぞん一刻』音無響子

ひよこの絵と「piyo piyo」の文字が書かれたエプロンをして、古いアパートの前をほうきで掃いている、愁いを帯びた美人な管理人さん。もし実在していたら、アパートへの入居希望者が殺到するのは間違いないでしょう。
天才・高橋留美子先生が1980年から1987年にかけて「ビッグコミックスピリッツ」で連載し、1986年にはTVアニメ化もされた『めぞん一刻』のヒロイン、音無響子こと管理人さんは、未亡人がマンガのヒロインとして成立することを世にしらしめ、多くの男性に拭いがたい大きな衝撃を与えました。
高校卒業後に結婚したものの、相手の総一郎さんは半年もしないうちに他界。落ち込む響子を見かねた総一郎の父親により、一刻館の管理人を務めることになりましたが、このときの年齢はまだ20歳そこそこ。ここから個性豊かな一刻館の住人や、後に結婚する五代裕作、テニスを通じて知り合った三鷹瞬たちとの触れ合いで、徐々に年相応の明るさを取り戻していきます。
一見すると清楚な美人に見えますが、音が無いのに響くという矛盾を含んだ名前の通り、なかなかのヤキモチ焼きで、五代君が他の女の子と仲良くしているのを見ると、露骨にイライラした態度を見せることもしばしば。五代君と三鷹さん、ふたりの男性に思いを寄せられ、その狭間で揺れ動きながらもいざというときには鈍感力を発揮し一線は越えず、読者・視聴者の感情をこれでもかと揺さぶり続けてくれました。
そんな管理人さんをアニメで演じてくださったのは島本須美氏。透明感がある美しい声で紡ぎ出される台詞は、そこに本当に音無響子と言う人間が生きているかのような、圧倒的な存在感を持っていました。今でも管理人さんのことを思い出すとき、島本さんの声が脳裏に思い浮かぶのは、おそらく筆者だけではないでしょう。
(早川清一朗)