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【シャーマンキング30周年への情熱(34)】道蓮の心境の変化は、予め予定されていた…?

2021年4月から放送中のTVアニメ『シャーマンキング』第9話では、主人公の麻倉葉とライバル・道蓮との戦いが描かれました。その戦いを通じて明かされた蓮の心情の変化について掘り下げていきます。

道家の使命を飲み込んだ、蓮の壮大な野望とは

シャーマンファイト予選の最終戦で葉と対戦した道蓮。アニメ『シャーマンキング』第9話より
シャーマンファイト予選の最終戦で葉と対戦した道蓮。アニメ『シャーマンキング』第9話より

 TVアニメ『シャーマンキング』第9話は、シャーマンファイトの予選最終戦、葉と道蓮の戦いでした。ヨミの穴での修行を終えた葉は、大きな変化を遂げたオーバーソウルで蓮に挑み接戦を繰り広げ、その結果、両者引き分けで勝ち抜けとなりました。引き分けと言っても、蓮は自分で敗北を認めていたので実質的には葉の勝利と言えるでしょう!

 しかし今回重要だったのは、勝負の行方よりも、蓮の生い立ちと心境の変化が描かれた点だったと思います。前回の最後で、尊大な振る舞いで破壊を繰り返す蓮の目的や、実家である道家に反抗心を持っていることがわかりましたが、その意味が明らかにされました。

 道家は太古の時代、”巫(ふ)”と”道(タオ)”を用いて民を導き、大陸を治めていました。ところがその力を恐れた者たちによって追いやられ、以来”悪”として闇の世界で生きることを強いられてきた不遇の一族です。このことは原作マンガや、スピンオフ作品『SHAMAN KING レッドクリムゾン』(講談社)などでも詳しく描かれています。

 その道家の次期頭首として期待されている蓮に課せられた使命は、道家を追いやった民衆への復讐と家の再興です。しかし、蓮が考えていることはスケールが違いました。一族が掲げる復讐という悲願を、「醜い」と一蹴しています。復讐を果たして再興しても、復讐された者たちから新たな恨みを買い、負の感情が連鎖するだけだと考えています。

 そのため彼は、そのような連鎖がない世界を創るためにシャーマンキングになろうとしていたのです。荒唐無稽に聞こえる野望でも、シャーマンキングになれば叶うと信じているのですね。

 さて、この蓮の考えには大きな説得力があります。しかし一方で矛盾を感じないでしょうか? 蓮が言っていることを素直に解釈すると「やったらやり返される、だからやるな」ということですよね。にもかかわらず蓮の言動は、相手を力でねじ伏せて自分の正しさを上から押しつけています。負の連鎖が生まれる一番マズいやり方ではないですか……。

 実はそこには理由があり、それが明かされているのが今回の9話でした。端的に言うと、蓮はそういう方法しか知らなかったのです。これについて掘り下げていきましょう。

【画像】アニメ第9話、「すべてを破壊する」と豪語する蓮に対し、葉と阿弥陀丸は…(6枚)

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タシロハヤト

美少女ゲームブランド「âge(アージュ)」の創立メンバーで、長らくシナリオ、演出、監督等を務める。代表作は「君が望む永遠」シリーズ、「マブラヴ」シリーズ。現在はフリーで活動中。『シャーマンキング』の作者、武井宏之氏と旧知の関係である縁から、同作の20周年企画に参加している。
https://twitter.com/tamwoo_k