35周年・今と昔の『ドラクエ』のギャップ 消えた呪文と、新しい呪文
2021年5月27日(木)、「ドラゴンクエスト35周年」を記念して、新しいタイトルの情報が続々と解禁されました。1986年にファミコン用ソフトとして発売されてから、35年の間日本のRPGのトップを走り続ける「ドラゴンクエスト」の今と昔を比較するにあたり、シリーズに登場してきた呪文に焦点をあててみます。
「ドルマ」「ジバリア」って何? ルーラで天井に頭をぶつけない、今の『ドラクエ』
2021年5月27日(木)、「ドラゴンクエスト」(以下、ドラクエ)シリーズは35周年を迎えました。アニバーサリーを記念して発表された新タイトルの数々に頭の整理が追いついていないファンも多いのではないでしょうか。
特にファンがどよめいたのは、『ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎』の制作発表です。ファミコン用ソフトとして「初代」が発売された1986年から35周年が経過し、これからも「ドラクエ」の最新タイトルが発売されることに大きな喜びの声があがっています。
とはいえ、シリーズの歴史は35年。世代によって思い入れの強いタイトルがバラバラであることも「ドラクエ」の特徴のひとつです。伴って、今と昔の「ドラクエ」にギャップを感じる人も少なくありません。
ゲーム内にある教会の十字架マークの改変、テンションシステムの導入などなど……変更点をあげ出せばキリがありません。この記事では、これまで劇中に登場してきた“呪文”に注目します。
「原点回帰」をうたったナンバリングタイトルとしての最新作『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて(S)』で久しぶりに「ドラクエ」をプレイした旧作のファンは多いでしょう。特に、使用頻度の高い「ルーラ」の利便性が上がったことに驚いたかもしれません。
ルーラの消費MPはゼロになり、”屋内”でも使えるようになりました。シリーズ恒例、天井に頭をぶつける演出がなくなったことに寂しさも覚えますが、ゲームの進行上で、プレイヤーのストレスを軽減させた改変です。
戦闘では、通常攻撃における「会心の一撃」に相当する「魔力暴走」の仕様も加わったほか、「ドルマ」に「ジバリア」といった、新しい系統の攻撃呪文が追加されていたことに目新しさを感じたのではないでしょうか。「ビッグバン」や「ジゴスパーク」などは、『ドラゴンクエストVI 幻の大地』から登場。なじみが薄いにもかかわらず、魅力的で高い人気を誇っています。
また、おなじみの「メラ」や「イオ」といった呪文にも”4段階目”の強化が追加されました。
たとえば、ヒャド系統なら「ヒャド」「ヒャダルコ」「マヒャド」「マヒャデドス」と強化されていくのですが……。 ここで、旧作からのファンは「ドラクエ」の今と昔のギャップを感じるのではないでしょうか。
ヒャド系統には、スピンオフタイトルを除き、ファミコン用ソフト『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(以下、III)『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』の2作品のみにおいて「ヒャダイン」と呼ばれる”過程”の呪文が、かつて存在していたからです。
「ヒャダイン」と言えば、幅広い音楽活動をしている前山田健一さんの活動名を連想する方も多いしょう。まさにこの活動名は”不遇”にも思える呪文に、前山田健一さんが愛着を感じたことに由来があるそうです。
改変は新しい要素の追加ばかりではありません。「ドラクエ」には、今は存在しなくなった呪文も多数存在します。
なくなった呪文の筆頭として挙げられるのは、「レムオル」と「アバカム」でしょう。前者は主人公の姿を消すことができる呪文ですが、用途が限定的すぎることから『III』にのみ登場します。「アバカム」は『III』のほか、ファミコン用ソフト『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』に登場するどんな扉の鍵も開けてしまう呪文です。汎用性が高すぎたことから『III』以降の作品で登場することはありません。
一方で、「バイキルト」や「スクルト」といった補助呪文が戦闘に欠かせないことに関しては、今も昔も変わりはありません。
新しいユーザーのニーズに対応することと、古くからのファンを魅了し続けること。 「ドラクエ」がRPGのトップを走り続けた背景にある試行錯誤は、呪文の変遷を探っていくことからも伺えそうです。
(ふみくん)