2大怪獣とウルトラマン…盛り上がる「2対1」戦闘シーンを開拓した作品とは?
強敵怪獣と1対1で戦うウルトラマンもいいですが、2大怪獣に挟まれるウルトラマンというのも、燃える構図です。その原点をさかのぼってみると、意外な事実がわかりました。
怪獣とのタイマン勝負にこだわった「ウルトラマン」
意外に思われる人もいるかもしれませんが、『ウルトラマン』(1966年)において、ウルトラマンは複数の怪獣と同時に戦ったことがありません。複数の怪獣が現れた場合、ウルトラマン登場以前に同士討ちとなるか、または科学特捜隊に倒されています。これは、ウルトラマンと戦う怪獣は1話につき1体だけと決められていたからだそうです。
怪獣たちでまず勝ち抜き戦を行い、チャンピオンであるウルトラマンに挑戦するという段取りと考えるといいかもしれません。
しかし、コミカライズなどのマンガでは複数の怪獣と同時に戦い、苦戦しながらも勝つというヒーローらしいウルトラマンを見ることができます。これは映像とマンガという異なる媒体だからこそ、効果的な見せ方が違うということかもしれません。
続いての『ウルトラセブン』(1967年)では、一度だけウルトラセブンが複数の敵と戦っています。その相手こそ、セブンが一度は敗北したガッツ星人でした。
ガッツ星人はウルトラシリーズで初めて同じ造形の着ぐるみが複数作られたそうで、映像を見ると効果的に使用されていることがわかります。とはいえ、それまでは合成により怪獣が複数いるように作られているので、着ぐるみがふたつあると言ってもわかりづらいかもしれません。
映像だけだと何人いるかわからないガッツ星人ですが、シナリオによると4人いたことがわかります。子供の頃の筆者はダダのようにひとりしかいないのに複数いる演出だと思っていました。
このように、同じ姿のガッツ星人が複数いたことも後でわかるくらいですから、複数と戦っていた感じはあまりしません。ひとりのガッツ星人が分身してセブンを倒したようにも思えますから。最後も復活したセブンに円盤ごと倒されるので、意外と拍子抜けする展開でした。
それでは、本格的に複数の敵と戦った初めてのウルトラ戦士は? ……と言いますと、『帰ってきたウルトラマン』(1971年)の新ウルトラマン(以下、新マン。現在はウルトラマンジャックという正式名称がありますが、本記事では第2期ウルトラシリーズで使われていた名前に統一します)になります。
1話から3体の怪獣が出る大盤振る舞いでしたが、実際に新マンは複数の怪獣と戦っておらず、冒頭の戦いはタッコングがザザーンを倒すという『ウルトラマン』のような展開でした。新マンが初めて複数の怪獣と戦ったのは3話のサドラとデットンからとなります。