【シャーマンキング30周年への情熱(36)】道家に訪れた転機…「タオ」の意味とは?
2021年4月から放送中のTVアニメ『シャーマンキング』第12話。中国・道家編が終幕しました。蓮が「父越え」を果たして至った境地、そして彼らが求める「タオ」について掘り下げていきます。
中国・道家編の終幕! そこで語られた「タオ」とは?

2021年6月10日放送のTVアニメ『シャーマンキング』11話と、昨日6月17日放送の12話では、中国・道家編として、蓮だけでなく道家の長きに渡る歴史の転機が描かれました。
蓮は過去と決別しようと、故郷である中国・道家に向かいます。人を殺しすぎた彼がその罪を背負いながら新しい道を歩むためには、殺人マシーンへと教育した父との決別が必要だったからです。
圧倒的な父の力の前に、為す術無く捕らえられてしまうものの、「なんとかなる」を信じた蓮は葉たちに助けられ反撃に出る……というのが前回11話の流れでした。
ところで監禁中、蓮は馬孫がいなかったことに気付いていたはずで、どこに行ったかも見当がついていたと思われます。ですから「なんとかなる」という言葉には根拠があったんだろうな……というのが筆者の解釈です。
本連載で筆者は、常々「なんとかなる」は「人事を尽くして天命を待つ」と同じ意味だと述べてきたのですが、今回もそうだっただろうと思います。蓮が馬孫に命じたわけではないにしろ、馬孫は蓮の想いをくんで行動したと考えるのが自然です。つまり、蓮はあの状況で最善を尽くしたのです。
そう考えると「俺は、あいつの言葉を心から信じている」というセリフ……それは「きっと馬孫は葉のもとにたどり着き、そして葉は助けに来てくれるはずだ」という意味にも受け取れます。とても重くて格好いいセリフでしたが、このように考えるとどこか微笑ましいですね。蓮はいい奴だと思います!
さて、そこで葉と合流してからの12話ですが、今回は「道(タオ)」というものの解釈を掘り下げてみたいと思います。
そのためにまず基本的な知識を簡単に説明すると、「道(タオ)」というのは中国三大宗教のひとつ「道教(どうきょう)」に由来する言葉です。蓮の背中に刻まれた陰陽の印も道教の一要素です。
道教がどうやって生まれたかは明確にわかっていません。当初は不老不死になりたい、食糧、財産が欲しいといった、民衆の夢を叶えるための教えでしたが、インドから伝来した仏教の普及に対抗するため、さまざまな考え方を取り入れ変化していったとされています。そして偉大な人の生きざまや考え方(これらの総称が”道”です)を説くのが「道教」とされるようになりました。
説かれた人はそれをもとに自分なりの道を探求し続けます。その時間を確保するために、不老不死の仙人になることが理想とされているのです。