25周年『スーパーマリオ64』を彩るバグ技 マリオの顔は皮膚がダルダルに…?
2021年6月23日は、NINTENDO64用ソフト『スーパーマリオ64』の記念すべき25回目の誕生日です。「スーパーマリオ」シリーズ初の本格3Dアクションゲームとして本作は名を残しただけでなく、プレイヤーの好奇心を否応なくあおる豊富な”バグ技”の数々が秘められていました。
お尻で階段を駆け上がるマリオに驚き
2021年は任天堂の家庭用ゲーム機「NINTENDO64」(以下、64)の発売からちょうど25年目。そして「スーパーマリオ」シリーズの記念すべき初3Dアクションゲーム『スーパーマリオ64』(以下、マリオ64)の生誕25周年でもあります。
『マリオ64』は64のローンチタイトルとして知られているだけでなく、奇天烈な”バグ技”の数々でも耳目を集めました。今回は記念の意味を込めて、『マリオ64』に登場したバグ技を改めて振り返ります。
※本稿はバグ技の使用を推奨する意図はございません。バグ技の確認および利用等は自己責任でお願いします。
本作でおそらく最も知名度が高いであろうバグ技と言えば、走り幅跳びを応用して生まれた「ケツワープ」ではないでしょうか。やり方はいたってシンプルで、壁を背にした状態で後ろ幅跳びを連続で行い、ある程度ジャンプを続けたところで3Dスティックを倒すだけ。ジャンプ中に生じたエネルギー(ジャンプによる加速度)が蓄積されていき、最終的に溜まったエネルギーが一気に解放されることで、オブジェクト(壁・スター扉など)を突き抜けて吹っ飛んでいきます。
うまく再現できた時の光景は、一度見ただけで忘れられないほどインパクト抜群です。身体をガタガタと震わせつつ、お尻を突き出して後方にぶっ飛ぶマリオ。「ヤヤヤヤヤッフー!」と辺り一面に響き渡る甲高い声。また上手く使えば、規定のスター枚数を満たさずに最終ステージ「てんくうのたたかい」へ到達することも可能。ゲーム作品のクリアスピードを競う「RTA」(リアルタイムアタック)でも毎回と言っていいほど取り上げられるため、『マリオ64』における”実用性とネタ性を兼ね備えた屈指のバグ技”として、今なお高い人気を誇っています。
ちなみにケツワープという名称は日本特有のもの。海外での呼び名は”Backwards Long Jump”となっており、そのまま「後方ロングジャンプ」として翻訳することができます。
続いてご紹介するのは、『マリオ64』のカセットを半差し状態(カセットを奥まで差し込まずに半分ほど浮かせる)で現れるバグに満ちた世界。意図的に発生させた接触不良(カセット&64本体)によって引き起こされるバグ技のため、電源をつけてしばらくすると、グラフィックやBGMが問答無用で著しく崩壊をはじめます。
タイトル画面で映し出されるマリオの顔は皮膚がダルダルに伸び切る、もしくは目玉が勢いよく飛び出したまま戻らない。通常の起動状態では到底流れない、複数のノイズをミックスさせたようなBGMが流れ出す。極めつけはマリオ自身で、3Dスティックを倒して動かせるかと思いきや、身体をいびつなまでに丸めたまま、不気味さを伴って地面にめり込んでしまうのです。
地面から身体を少しだけ出して移動するその姿はまさしくモグラ。ネット上では「ピーナッツマリオ」と呼ばれるケースもありますが、ランダム性の高いバグ技ゆえ、後方ロングジャンプのような正式名称は依然として定まっていません。
●1UPキノコにどこまでも追いかけられるマリオ
バグ技とは少々異なるものの、『マリオ64』では「1UPキノコ」を用いた”疑似鬼ごっこ”も話題となりました。こちらは、1UPキノコが持つ「マリオの元へ吸い寄せられる」という性質を利用した一種の遊び。明確なルールは設けられていませんが、大体の場合は1UPキノコを回収することなく、できるだけ長いあいだ逃げ延びることを目標にコース内を駆け巡ります。
ネット上で注目を集めたキッカケは、今から約13年前に某サイトへ投稿された1本のゲーム実況動画。本来ならばマリオの残機を増やす1UPキノコを敵としてうまく見立て、コース内を縦横無尽に走り回って逃走を図る様子が収められていました。こちらの動画は720万再生を突破(2021年6月時点)しただけでなく、後に投稿主を代表する人気シリーズへと成長。動画内で用いられた「緑の悪魔」という呼び名は、そのまま『マリオ64』の1UPキノコを指す言葉として定着しています。
今回ご紹介したバグ技やユニークな遊びに加え、『マリオ64』にはまだまだ小ネタが眠っています。実用性や話題性で大小の差こそあれど、いずれも本作のゲーム体験を構成する要素として欠かせないものではないでしょうか。
(龍田優貴)