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アニメ『スーパーカブ』主人公・小熊の1年を振り返る。原作で内面描写はより深まる?

4月から放送/配信が始まった“春アニメ”のなかでも独特な作風で異彩を放ち、何かと話題となった『スーパーカブ』が最終回を迎えました。“ないないの女の子”が一部視聴者からは「イキリ小熊」と呼ばれるまでになった主人公の小熊を中心に振り返ります。

“ないないの女の子”小熊の変化

主人公の小熊は、中古のスーパーカブを手に入れてから少しずつ生活や内面に変化が生まれる。アニメ『スーパーカブ』第1話より
主人公の小熊は、中古のスーパーカブを手に入れてから少しずつ生活や内面に変化が生まれる。アニメ『スーパーカブ』第1話より

 トネ・コーケン氏による同名の原作小説をアニメ化した『スーパーカブ』が、この6月下旬に各放送局で最終回を迎えました。本作には美しい背景美術や確かなバイク描写、メリハリの効いた映像演出などさまざまな魅力がありますが、今回は山梨県北杜市に住む高校2年生の主人公、小熊について振り返ります。

 小熊は両親もお金も友達も趣味も将来の目標もないという、“ないないの女の子”。そんな彼女の日常が、ふと見かけた中古のスーパーカブを購入したことから変化し始めます。彼女は季節の移ろいに合わせてバイクを徐々にカスタマイズし装備を揃え、中盤では普通自動二輪車の免許も取得。それにあわせて、バイク好きの礼子や自転車乗りの椎といったクラスメイトの友人が増えていきました。

 小熊については、一見不憫な境遇や田舎娘然としたルックス、気鋭の声優・夜道雪さんの自然体の演技、そして作品全体を通して基本的に抑えられた演出のため、当初は「ただ素朴でかわいらしい少女」と見ていた視聴者が多かった様子。

 しかし、一度は欠席した修学旅行にスーパーカブで途中参加したり、文化祭準備中のクラスメイトに助け舟を出したりと積極性が目立つようになります。それらはスーパーカブを手に入れたことによる変化の表れですが、その合間にはカブ乗りとしてのこだわりを感じさせる言動もしばしば。当初のイメージと変わった反発からか、ネット上では「イキリ小熊」という呼び名も見られるようになりました。

 こうした反応も、おそらく作り手側は織り込み済みでしょう。公式サイトに掲載されているインタビューで、藤井俊郎監督は「普段の生活でも初対面では『なんだコイツ?』って思ったけど、仲良くなってみると実はいい奴だった、みたいな経験って誰にでもあると思うんです(笑)。だから、それ(編注:小熊への違和感)はマイナスではなくキャラクターが持つ“人間らしさ”のひとつだなと思っているんです」と語っています。

【画像】アニメ『スーパーカブ』で主人公・小熊が手に入れたものたち(10枚)

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