マグミクス | manga * anime * game

6/29は『Zガンダム』フォウ・ムラサメの誕生日。避けられぬ悲劇も、美しさは永遠に…

ララァの悲劇を思い起こさせた、「永遠のフォウ」

フォウの前日譚が描かれた小説『機動戦士Zガンダム フォウ・ストーリー そして、戦士に…』(KADOKAWA)
フォウの前日譚が描かれた小説『機動戦士Zガンダム フォウ・ストーリー そして、戦士に…』(KADOKAWA)

 前半最後の登場となる20話「灼熱の脱出」では、ベン・ウッダー大尉に拳銃で撃たれ負傷しながらも、命を懸けてカミーユを宇宙に送り出す姿が描かれます。

 森口博子氏が歌う「銀色ドレス」をバックにシャトル用ブースターにしがみつき、宇宙へと上がっていくガンダムMK-IIを見送るフォウの表情は、悲しげでもあり切なげでもあり満足げでもあるという、極めて精妙な描かれ方をしていたのが印象的です。なお、劇場版ではフォウはここで戦死しており、以降は登場しません。

 フォウの再登場は35話「キリマンジャロの嵐」。ティターンズのキリマンジャロ基地に侵入したカミーユの前に姿を現したフォウでしたが、ニューホンコンでの記憶はすでに失われていました。カミーユに話しかけられてもまともな反応を返さず、淡々とサイコガンダムに乗り込み、カラバのモビルスーツ隊を次々と撃墜していきます。

 そして36話「永遠のフォウ」では、カミーユの決死の呼びかけにより遂にわずかな記憶を思い出しますが、ジェリド・メサのバイアランからカミーユをかばい、戦死を遂げてしまいます。その最期はあまりにも切なくカミーユに大きな心の傷を残し、その場に居合わせたクワトロ・バジーナとアムロに、否応なくララァ・スンの悲劇を思い出させることとなりました。

 ここでフォウの物語は幕を閉じていまいましたが、後に遠藤明範氏の手により短編小説として『機動戦士Zガンダム フォウ・ストーリー そして戦士に…』が執筆され、カミーユと出会う以前のフォウの姿が描かれました。

 同書によると、フォウは一年戦争時、家族とともに日本に住んでいましたが、コロニー落としの影響で一家が離散し、フォウ自身も過去の記憶を失ってしまったとされています。その後ムラサメ研究所に引き取られたフォウは過酷な訓練を受け、さらに仕組まれた悲劇的な出会いと別れを経て、サイコガンダムに乗り込んだことが描かれています。

 かつては幻とされていた小説でしたが、現在は電子化もされており、気軽に読むことができます。フォウが歩んだ過酷な道は決して愉快なものではありませんが、それでも彼女のことをもっと知りたいという方がいましたら、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

(早川清一朗)

1 2 3