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『Zガンダム』信念のヒロイン、エマ・シーンの軌跡。最期まで世界のことを考えて…

『機動戦士Zガンダム』のメインキャラクターのひとりだったエマ・シーン。彼女をメインヒロインと考える人も少なくありません。しかし、その生きざまは単なるヒロインの枠には収まらない壮絶なものでした。

正義感が強すぎる面もみられたが…

エマとともに登場ヒロインたちが描かれる、『機動戦士ZガンダムII -恋人たち-』Blu-ray(バンダイビジュアル)
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『機動戦士Zガンダム』のメインヒロインは誰か?という話が、たびたびファンの間で論争になります。それだけ魅力的な女性、ヒロインの多い作品だからでしょう。順当に考えればファ・ユイリィだと思いますが、エマ・シーンを推す人も少なくありません。

 その最大の理由は、カミーユがZガンダムに乗り換えた後、前半の主人公機であるガンダムMk-IIのメインパイロットになったからです。それまでの富野由悠季監督作品では、前半の主人公機に乗った女性がメインヒロインだった……そういう理屈です。メインヒロイン論争はひとまず置いておくとして、エマがどんな人物だったのかを振り返ってみましょう。

 エマはもともと主人公側である「エゥーゴ」と敵対する「ティターンズ」に所属する軍人でした。しかし、ガンダムMk-II強奪事件で自分の信じていたティターンズに正義がないと知り、エゥーゴ側に投降します。

 その後、スパイ容疑もかけられますが、実直で裏表のない性格が認められ、晴れてエゥーゴの一員となりました。そして、パイロットとしてエゥーゴの主力メンバーになっていきます。主人公のカミーユ・ビダンにとって、頼れるお姉さんという立ち位置でしょうか。

 エマの行動を見ていると、とにかく正義感の強さと厳しさが目につきます。ある種の潔癖症と言ってもいいのかもしれません。間違ったことを許せない性格の持ち主という印象を受けます。それゆえにティターンズの暴挙に対してすぐに見切りをつけたのでしょう。

 その思いは個人にも向けられ、軍隊内では認められているとはいえ修正という名の体罰をたびたびカミーユやファに行っています。ただし、その後にやりすぎだった自分を反省するなど、女性らしい感性も持ち合わせていました。

 設定では軍人の家系で育った日系9世とありますから、とても厳しい環境で育ったお嬢様だったのかもしれません。そこを踏まえてみると、「~でなくて」という上品な言葉遣いで話す場面が目につきます。また、正義感が強くて頭に血が上りやすいというところは、江戸っ子気質と見れなくもないですね。

 しかし、後に制作された劇場版では前述した厳しさがやわらぎ、母性的で包容力のある女性という面が強調されていました。これはカミーユなども含めて、劇場版で方向修正された部分です。やさしい人が増えて全体的な空気感がやわらいだことが、劇場版でカミーユの精神崩壊を防いだ要因だったのかもしれませんね。

【画像】エマと対をなす『Zガンダム』のヒロイン、レコア・ロンド(4枚)

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