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『鬼滅の刃』に登場する4組の“夫婦” さまざまな絆の形が涙腺を刺激する…

人が人を愛する気持ちは今も昔も変わりません。『鬼滅の刃』にも何組もの夫婦が登場し、さまざまな絆の形を見せます。お互いの笑顔を糧に生きる夫婦、目的のために共に戦う夫婦、ささやかな幸せを求めた夫婦など、彼らのつむぐ愛の物語をご紹介します。

『鬼滅』作中の理想の夫婦といえば…

産屋敷耀哉とあまねの夫婦 著:吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第16巻(集英社)
産屋敷耀哉とあまねの夫婦 著:吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第16巻(集英社)

 コロナ禍で結婚式の延期や中止が相次ぎ、挙式数は激減していますが、人が人を愛する気持ちは今も昔も変わりません。むしろコロナによって人との接触が制限されるなかで本当に大切な人への気持ちに気付いた人もいるかもしれませんね。

『鬼滅の刃』でも、何組もの夫婦が登場します。お互いの笑顔のために支え合って生きる夫婦、ひとつの目的のために共に戦う夫婦、ささやかな幸せを求めた夫婦など、さまざまな絆が描かれているのも作品の魅力ですね。

 この記事では、『鬼滅の刃』に登場する夫婦たちが見せるさまざまな絆の形をご紹介します。

※まだアニメ化されていないシーンの記載があります。原作マンガを未読の方はご注意ください。

●音柱・宇髄天元と3人の妻

 TVアニメ『鬼滅の刃 遊郭編』の放送が待ち遠しい宇髄天元(うずい・てんげん)には、雛鶴(ひなつる)、まきを、須磨(すま)の3人の妻がいます。
 
「派手」が身上で、自称「祭りの神」の天元ではありますが、妻が3人いるのは、けっして彼が浮気性なわけでも、“派手な夫婦”をねらったわけでもありません。忍の一族の出身である天元は、15歳になると一族の長が選んだ3人の「くのいち(女性の忍者)」を嫁にするのが決まりだったからです。しかしその後、人の命を道具のように使い捨てる父親や一族の考え方に嫌気がさし、3人の妻たちとともに忍びを抜けました。

 天元は、恵まれた体格と忍として培った高い身体能力と俊敏性、毒への耐性などを活かし、鬼殺隊の柱として活躍しています。ですが、忍びを抜けてしばらくの間は、父親の命令だったとはいえ自分の兄弟を戦いの中で殺したことに強い罪悪感を抱えており、自分は地獄に落ちるというのが口癖でした。それをまきをに怒られ、雛鶴に泣かれ、須磨には噛まれてからは言わなくなったそうです。

 そして、「俺は派手にハッキリと命の順序を決めている まず、お前ら三人 次に堅気の人間たち そして俺だ」と、何をおいても妻たち3人の命が一番大切だと名言するに至った天元とそんな彼の心を理解し、ともに歩む3人の妻は『鬼滅の刃』を代表する素敵な夫婦だと言えるでしょう。 

●産屋敷耀哉とあまね

 4歳で当主となった産屋敷耀哉(うぶやしき・かがや)が代々神職の家系の娘である神籬あまねと結婚したのは、耀哉が13歳、あまねが17歳の時でした。耀哉の享年は23歳なので、ふたりは10年間連れ添い、5人の子をもうけたことになります。

 耀哉の先祖は、鬼舞辻無惨(きぶつじ・むざん)と血縁関係にあり、無惨が鬼になったことで、産屋敷家に生まれた男子はひとりしか育たず、生き残って当主となったひとりも長くは生きられないという呪いにかかっていました。産屋敷家では、当主が少しでも長く生きられるようにと、神職の一族から妻を娶ることで呪いの力を薄めようとしてきましたが、それでも30歳以上は生きられなかったのです。呪いを解く唯一の方法は、無惨を倒すことでした。

 耀哉とあまねは、両家のしきたりによって出会い、結婚が決められていましたが、耀哉は自分が長くは生きられないであろうことから、あまねの意志を尊重しようとします。その優しさに触れたあまねは、結婚を決意。次第に病気が進行する耀哉を支え、無惨との最終決戦のため、自らを囮にした耀哉とともに最期を迎えたのでした。

 悲劇的な最期を遂げた耀哉とあまねの夫婦ですが、互いを労り支え合いながら、ともにひとつの目標に向かう夫婦ならではの強さと深い絆を感じさせました。

運命のふたりは、小さな幸せを手に入れたいだけだった…

●継国縁壱とうた

 継国縁壱(つぎくに・よりいち)は、始まりの呼吸である「日の呼吸」の使い手で、鬼殺隊最強の剣士と呼ばれました。武家に生まれた彼は双子の弟で、生まれつき痣があったため父親に疎まれ、10歳で出家させられることになっていました。ところが剣の腕が優れていることが分かると父親は彼に目をかけるようになり、自分の存在が兄・巌勝(みちかつ)の立場を危うくすると感じた縁壱は、母親の死をきっかけに7歳で家を出たのです。

 家を出て、ひたすら走っていた縁壱は、家族を流行り病で失った “うた”という「黒曜石のような瞳の」同じ年ごろの少女と出会います。そして、縁壱とうたのふたりは、幼くして親を失った者同士、寄り添いあいながら生き、10年後、ふたりは夫婦になったのです。
うたはよく喋る女の子で、縁壱にとっては「“うた”は、糸の切れた凧のようだった私の手をしっかりと繋いでくれた人だった」と言っています。縁壱はうたにはさまざまなことを素直に話せたのでしょう。うたを通して自分の特異体質についても知り、幼い頃から漠然とした疎外感の理由を知ったのです。

 そして縁壱は、ささやかな夢を持つようになります。うたと間もなく生まれる子供と一緒に静かに暮らすというものです。小さな家で愛する人の顔を見、手が届く距離で布団を並べて寝るというささやかな夢も、鬼の襲来によって打ち砕かれます……。

 生涯、うただけを愛した縁壱。ふたりはきっと出会うべくして出会った、運命の相手だったのでしょう。ふたりで過ごした10年間は、幼い彼らには大変なことも多かったでしょうが、それ以上に穏やかで、心安らぐものだったのではと思います。そして、竈門家の先祖である炭吉とすやこ夫婦と出会い、彼らの子供を抱いたりあやしたりして、かつて自分がうたや子どものためにできなかったことをすることで、少しは縁壱の心も救われたでしょうか。炭吉の子供を抱きしめて涙をこぼす姿に胸が痛みます……。

●竈門炭吉とすやこ

 炭吉(すみよし)とすやこは、戦国時代に生きていた竈門家の先祖です。炭治郎は、夢の中に登場した炭吉を通して縁壱との生い立ちや悲しい出来事を知り、耳飾りとヒノカミ神楽が竈門家に伝わった理由を知りました。

 素朴な人柄の炭吉と明るく朗らかな妻すやこは、妻と子を亡くし、兄が鬼になり、無惨を取り逃がし……という悲しみの中にいた縁壱の唯一の救いにもなった温かい夫婦でした。 とくにすやこは縁壱に赤ちゃんを預けて寝入ってしまったり、剣の型を見せて欲しいとせがんだりと、くったくのない少女のような接し方をします。その一方で、炭吉とすやこの子供を抱いて泣く縁壱に対して、子供に接する母のように頭をぽんぽんしてなぐさめるなど、彼の心の傷を癒やしたのではないでしょうか。

 炭吉とすやこのふたりは、実は運の良い夫婦で、出産間際には縁壱に助けてもらっているようですし、単行本のおまけページにある「戦国コソコソ話」によれば、たまたま山の中で助けた母子が大名の妻と嫡男だったため、そのお礼にと家を直してもらったこともあったようです。キレイになった家の中で、すやこは無邪気に飛び跳ねて喜んでいました。

* * *

『鬼滅の刃』には、今回取り上げた夫婦のほかにも、竈門炭十郎(かまど・たんじゅうろう)と葵枝(きえ)夫妻、煉獄槇寿郎(れんごく・しんじゅろう)と瑠火(るか)夫妻、また、遊郭「京極屋」の店主と上弦の鬼・堕姫に殺されたお三津などの夫婦が登場し、さまざまな夫婦の絆の形を見せてくれます。

※煉獄の「煉」は「火+東」が正しい表記

(山田晃子)

【画像】大切な人とおそろいにしたい『鬼滅』リング(5枚)

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