誕生から半世紀!ピンチをチャンスに変えた「仮面ライダー2号」の功績とは?
主役交代というピンチを「路線変更」というチャンスに

新しい仮面ライダーの登場に合わせて、番組はこれまでの課題となっていた問題点を一気に改めました。
夜間撮影で暗闇にまぎれてしまうことから、仮面ライダーの配色をより明るいものにします。実は本郷ライダーの時点から考えられていましたが、偶然にも一文字ライダーの登場に合わせる形になりました。これにより、後に1号と2号のダブルライダーが並んだ際に、デザインは一緒でも色で区別がつくことになります。
ドラマ部分も重厚で暗いイメージのあった作品を明るくするため、改造人間の悲哀さを前面に出した本郷猛から、一文字隼人はユーモラスでヒーロー性のあるキャラクターに変更しました。
また、ライダーガールズという女性陣レギュラー、さらに当初はシリアスなドラマ作りを目指すことから登場を見送られていた子役を起用します。
大きな変更点は、バイクに乗ってその風圧の力で変身するのではなく、「変身」と掛け声を上げて見得を切る変身ポーズでした。それまで見得を切った変身ポーズというものはなく、その目新しさから子供たちは変身ポーズを覚え、「変身ブーム」という社会現象になります。
この変身ポーズは以前から考えられていましたが、佐々木さんがバイク免許を持っていなかったことから正式に採用となりました。これ以降の作品では、ヒーローの変身ポーズは当たり前のものとなっていきます。
ケガによる主役交代というピンチに直面した『仮面ライダー』は、それを逆手にとって作品イメージを一新するというチャンスに変えました。その結果、視聴率は上昇し、子供からの圧倒的な支持を得ることに成功します。その人気急上昇という功績により、番組は2クール以降の延長も決定され、4クール目開始時の元旦放送という晴れ舞台に、藤岡さんの復帰を迎えることができました。
4クール目は藤岡さんのリハビリもかねて、佐々木さん主役のまま「ダブルライダー編」という展開が何度か製作されます。当然、子供たちはふたりの仮面ライダーに大喜びし、その人気にスタッフからは5クール目以降は、主役ふたりによる本格的な「ダブルライダー編」が検討されました。
しかし、この申し出に佐々木さんは「藤岡の復帰までという約束」だと、番組に残ることをかたくなに拒否したそうです。そして、5クール目以降は藤岡さんによる本郷猛主役の「新1号編」が始まりました。もちろん、佐々木さんの一文字隼人もたびたび登場し、予告もなく現れる神出鬼没な新2号ライダーを見て、当時の子供たちはダブルライダーの活躍に酔いしれます。
最近のライダーシリーズでは、当たり前のように何人もの仮面ライダーが出ていますが、仮面ライダー2号がいなければそのような発想もなく、シリーズも今まで続くこともなかったかもしれません。逆に、複数の仮面ライダーがレギュラーとして登場する可能性は、最初のシリーズからあったわけです。
歴史にIFはつきものですが、1号と2号が常に活躍する「ダブルライダーシリーズ」を当時の子供としては見たかった。筆者はそう思うことがあります。みなさんはどうでしょうか?
(加々美利治)



