ガンダム主題歌の作曲も…リバイバルヒットの松原みきさんが残した「アニソン」の足跡
2020年12月に音楽配信サービスのグローバルバイラルチャートで18日間連続1位になるなど、松原みきさんが歌った「真夜中のドア Stay With Me」が世界各国で大ヒットしています。シティポップスの先駆者となった松原さんですが、1980年代以降はアニソン界でも活躍しました。松原さんの業績を振り返ります。
「真夜中のドア」が世界的な大ヒットに
歌手・松原みきさんが1979年にリリースしたデビュー曲「真夜中のドア Stay With Me」が、2020年の暮れから世界各国で大変な人気となっています。松原さんはデビュー当初19歳という若さでしたが、ジャズシンガーだった母親譲りの大人びた歌唱力は話題を呼び、「真夜中のドア」は国内で10万枚をセールスするヒット曲となりました。
日本のシティポップスを再評価する近年の世界的なブームや、音楽のネット配信などが松原さんの再ブレイクを後押ししたという背景がありますが、40年以上経ってから「真夜中のドア」が欧米やアジア各国で大ヒットしていることには驚きを覚えます。YouTubeなどで「真夜中のドア」のPVを視聴し、改めて「やっぱり、いい曲だな」と感慨に耽っている往年のファンも多いのではないでしょうか。
国内外のさまざまなアーティストによってカバーされている「真夜中のドア」や、化粧品メーカーのキャンペーンソングだった「ニートな午後3時」などのヒット曲で知られる松原さんですが、アニソン界にも足跡を残しています。時代を駆け抜けた松原さんの活躍を振り返ります。
アニソンのイメージを広げた、アダルトな歌声
SF作家・高千穂遙氏の同名小説をアニメ化した『ダーティペア』は、セクシーなトラブルコンサルタントのケイとユリが大暴れするスペースオペラです。松原さんは劇場版『ダーティペア』(1987年)のオープニング曲「サファリアイズ」、エンディング曲「パ・ド・ドゥ」のボーカルを務めています。
人気スパイ映画「007」シリーズを思わせる、おしゃれで洗練されたアニメーション映像に松原さんのアダルトな歌声がとてもマッチしていました。
より多くの人の耳に残っているのは、1984年~85年に放映された細野不二彦氏の人気マンガのTVアニメ化『GU-GU ガンモ』(フジテレビ系)の主題歌「ガンモ・ドキッ!」でしょう。松原さんは「スージー松原」名義で初のアニメ主題歌を歌唱しています。ガンモやハンペンといった登場キャラクターたちの名前に合わせて、オデン系の変名にしているところに大阪生まれの松原さんの茶目っ気を感じさせます。
TVアニメの主題歌らしからぬジャズ調のナンバー「ガンモ・ドキッ!」を、松原さんは実にファンキーに歌い上げています。
かつてアニメソングは子供向けの音楽として、レコード業界では低く扱われていた時代がありました。しかし、1980年代になると杏里さんが「CAT’S EYE」、岩崎良美さんが「タッチ」などのTVアニメの主題歌をヒットさせるようになります。実力派シンガーだった松原さんも、アニソンのイメージを広げるのに貢献したひとりだったと言えるでしょう。