『ゴジラvsコング』の「カギ」を握る芹沢蓮…破壊神になろうとした男の悲劇とは?
“破壊神”ゴジラと“髑髏島の巨神”コングが対決することで話題の『ゴジラvsコング』が、現在大ヒット上映中です。ゴジラはこれまで以上に凶暴で、コングは知性を発揮して戦いに挑みます。さらに注目されるのが、小栗旬さん演じる新キャラクター・芹沢蓮の登場です。ミステリアスな雰囲気を漂わせる芹沢蓮の内面を探ります。
小栗旬さんのハリウッドデビュー作
2021年7月2日より、ハリウッド映画『ゴジラvsコング』の日本公開が始まりました。米国など海外ではすでに3月から封切られ、世界興収500億円を越える大ヒットに。日本でも興収11億円を突破する好スタートを切っています。
日本生まれのドル箱スターであるゴジラが、米国特撮映画史の人気アイコンであるキングコングと激突する世紀の一戦。『GODZILLA ゴジラ』(2014年)、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019年)で芹沢猪四郎博士を演じた渡辺謙さんに代わり、芹沢博士の息子・芹沢蓮として、小栗旬さんがハリウッドデビューを飾っていることでも話題となっています。
芹沢蓮の出演シーンは、編集によって大幅にカットされたようです。出番は限られている芹沢蓮ですが、ゴジラとコングとの対決の行方を左右するキーパーソンであることには間違いありません。巨大生物=タイタンに戦いを挑む研究者・芹沢蓮の心情をクローズアップしたいと思います。
※本記事は物語の結末には触れていませんが、いっさいのネタバレを避けたい方はぜひ鑑賞後にお読み下さい。
父親とゴジラに対する、芹沢蓮の複雑な感情
芹沢猪四郎博士は、ゴジラをはじめとするタイタンと呼ばれる巨大生物を研究・調査する国際組織「モナーク」に所属していました。ゴジラ研究に没頭するあまり、家庭で過ごす時間はあまりなかったのではないでしょうか。典型的な「昭和のオヤジ」だったと思われます。しかも、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』では、瀕死状態に陥っていたゴジラを救うために、殉職を遂げています。
世界平和のために、自分の私生活のみならず、命さえも投げ出した芹沢猪四郎博士。研究者の鑑(かがみ)のような存在ですが、息子である芹沢蓮の目にはどのような父親に映っていたのでしょうか。ゴジラ研究のために、さらにはゴジラを救うために、芹沢蓮は父親を2度失ったような喪失感を抱いていたのではないでしょうか。
父・芹沢猪四郎と同じように、芹沢蓮も研究者の道へと進みます。芹沢猪四郎はゴジラとも共存できる寛容性のある世界であることを望んでいましたが、その願いは息子である芹沢蓮にはどうも届いてはいなかったようです。研究者となった蓮は父を奪った“破壊神”ゴジラへの復讐心を募らせ、最新の科学力によって自分自身がゴジラを凌駕する存在になろうとします。