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ハリウッド版『ドラゴンボール』を原作未読の人が観たら? 思わぬ「落とし穴」

公開から10年以上経過しましたし、ハリウッド版『ドラゴンボール』はそろそろ“許され”てもよい頃合いではないでしょうか。本稿では原作をほとんど知らない人たちが観れば楽しめるのでは……? そんなヒアリング企画を実施したところ、意外な妨害が待ち受けていました。

原作を知らなければアクション映画として純粋に楽しめる…はず!

『DRAGONBALL EVOLUTION』(2009年)
『DRAGONBALL EVOLUTION』(2009年)

【評価: 1.7/1,839件】 【評価: 1.6 /4,868 票】 【評価: 1.6/619 件】
 こちらは、2009年に公開された『ドラゴンボール』(著:鳥山明)のハリウッド実写版映画『DRAGONBALL EVOLUTION』のさまざまなレビューサイトにおける、掲載時点における平均点になります。公開から早10年以上経過しているというのに評価が大きく覆ることはついぞありませんでした。

 とはいえ(筆者は)本作の評価に対してひとつ、大きな疑念を抱き続けています。それは「原作ファンが観たから酷評されたのではないのか」というもの。もし『ドラゴンボール』を知らない人が観れば、単なるアクションファンタジー映画として違った評価が得られるのではないのでしょうか。実際にヒアリングしてみることにしました。

 ただし地球規模で人気を誇る作品だけあって、全く目に触れずに育つことはほぼ不可能。そこで「単行本を読んでいない」を大前提に、「悟空の結婚相手の名前」「クリリンはどこの星の人?」「このキャラの名は?(チャオズの画像)」などの質問に見事“不正解”した人のみに視聴してもらうことにしました。以下、その条件で抽出された20代~30代の「『ドラゴンボール』を知らない男性」による貴重なレビューになります。

●Mさん:30代男性/出版商社/好きな映画『トゥルーマン・ショー』

「(冒頭1500字ほど割愛)人物はたくさん出てくるけど掘り下げないまま話が進むせいか後半の展開にピンとこない。原作に詳しい人なら、キャラクターが出てきただけで“待ってました!”って感じかもしれないけれど……(1000字ほど割愛)。カメハメ波で灯りを消すところは唯一個性的なシーンだったと思う。原作は読んでみたくなった」

 ……つまり「かなりテンポが良かった」ということでしょう。なお本作を観てから原作を読むととんでもないイリュージョンが待っているはず。さあ、続いての感想はこちら!

●Sさん:30代男性/社労士/好きな映画は“特になし”

「悟空が学園生活を送っていて、いじめられているのが新鮮だった。あとドラゴンボールが綺麗だった」

 確かにドラゴンボールはキラキラして綺麗でした。原作ファンからすれば悟空が高校生活を送っているという改変設定は衝撃でしたが、その衝撃は原作未読の人にもしっかりと届いたようです。

●Kさん:20代男性/放送作家/好きな映画『ワイルドスピード』

「ハリウッド映画のテンプレのように、スクールカースト上位に悟空が絡まれているのは笑いました。他の学生がわりと一般的な名前だから『悟空』の浮き方が尋常じゃなく話が全然入ってこなかったです。中盤からようやく慣れ、割り切って観られました。ブルマもかわいかったし、“普通に楽しめる”くらいの作品だと思いました」

 この人も同様に「悟空」の浮きっぷりに戸惑っていましたが放送作家だけあってさすがエンタメに寛容。とうとう“普通に楽しめる”という感想を引き出すことに成功しました!

●Kさん:30代男性/区役所職員/好きな映画『嫌われ松子の一生』

「ハリウッドのアソートパックのような映画でした。スターウォーズ×ロード・オブ・ザ・リング×マトリックスのような。亀仙人がいい人で上司にしたい。あとこれを一緒に観てくれる人と結婚したい」

 極めて個人的な見解が含まれていますが、これはもう「絶賛」と言ってよいでしょう。たった4名という少ないサンプルながら平均すれば「まずまず」といったところ。脚本家が「金に目がくらんだ。ファンに申し訳ない」と謝罪した映画とは考えられぬ高評価です。やはり原作ファン以外ならある程度は楽しめるものだった、言えればよいのですが大きな誤算が……。

 今回協力いただいた方々は原作未読ではありつつも同時に「実写版『ドラゴンボール』はひどいらしい」といううわさも耳にしていたのです。悪事千里を走りすぎです。先入観に基づく善意の解釈があったことは否めず、本当の意味で「真白」な評価を抽出するにはもう少し時間がかかるかもしれません。

 とはいうものの、2022年には『ドラゴンボール超』劇場版最新作の公開が控えていますし、集英社は『ドラゴンボール』のオフィシャルサイトを英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語に対応させたばかりで世界的に『ドラゴンボール』はますますの盛り上がりをみせています。「『ドラゴボンボール』を知らない人」はこれからもなかなか増えそうにありません。

(片野)

【画像】「アリ」なジャンプ作品原作の実写映画

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