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映画『妖怪大戦争』で「大魔神」が復活。庶民の苦しみに呼応する最強魔神の中身は?

夏休み映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』には、個性豊かな魔物たちがぞくぞくと登場します。そのなかでも、ひときわ強烈な存在感を放っているのが「大魔神」です。最強魔神がスクリーンで大暴れした大映映画『大魔神』3部作は、どれも傑作ぞろいでした。『大魔神』の面白さの秘密とは……?

映画3部作の公開から55年ぶりにスクリーンへ

1966年公開の3部作の第1作『大魔神』。画像は同作デジタル・リマスターDVD(KADOKAWA)
1966年公開の3部作の第1作『大魔神』。画像は同作デジタル・リマスターDVD(KADOKAWA)

 大魔神が復活します。プロ野球の横浜ベイスターズやMLBのシアトル・マリナーズで活躍し、「Daimajin」と呼ばれた佐々木主浩投手のことではありません。特撮映画の傑作としてその名を残す、超おっかない『大魔神』(1966年)のほうです。

 2021年8月13日(金)公開予定の、三池崇史監督の新作映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』は、日本古来から伝わる妖怪たちに加え、『大魔神』『大魔神怒る』『大魔神逆襲』3部作(いずれも1966年)に登場した“怒れる武神”大魔神がスクリーンによみがえることでも話題となっています。

 劇場公開から55年の歳月が流れていますが、戦国時代に現われた大魔神が城兵たちを相手に大暴れする姿は、多くの人の脳裏に焼き付いています。角川シネマ有楽町などで現在開催中の「妖怪特撮映画祭」でも、『大魔神』3部作の4K修復版が上映されています。その色あせない魅力を振り返ります。

怪獣ブームにおける異色作だった

 特撮時代劇『大魔神』3部作が4月、8月、12月に続けて公開された1966年は、特撮ドラマの金字塔『ウルトラマン』(TBS系)の放送が7月から始まった特撮界のメモリアルイヤーです。『ウルトラマン』に先駆けて、『ウルトラQ』(TBS系)も同年1月から放映され、日本じゅうが怪獣ブームに沸いていました。

 黒澤明監督の『羅生門』(1950年)などの名作時代劇で知られる映画会社「大映」は、特撮映画『大怪獣ガメラ』(1965年)もヒットさせていました。長年にわたって培われた本格時代劇のノウハウと特撮要素をうまくミックスさせたのが、『大魔神』だったのです。人気時代劇「座頭市」シリーズなどを手掛けた安田公義、三隅研次、森一生という一流監督が3部作には起用されています。

 悪い領主の圧政に苦しむ村人たちの悲痛な叫びが、眠れる大魔神を呼び起こします。平常時は柔和な顔の巨大ハニワですが、怒りに目覚めると鬼の形相に変わります。一度暴れ始めると、もう誰も止められません。このキレっぷりがハンパなく、当時の多くの子供たちは恐怖したと思われます。

【画像】幻となった『大魔神』リメイク脚本、現代が舞台のTVドラマも(5枚)

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