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劇場アニメ『はだしのゲン』 原爆投下を克明に描写した、原作者とスタッフの熱意

広島市出身のマンガ家・中沢啓治氏の自伝的作品『はだしのゲン』を、小中学生の頃に学校の図書室などで読んだことのある人は多いのではないでしょうか。『はだしのゲン』は実写映画化やTVドラマ化もされています。なかでも原爆投下の瞬間を克明に再現してみせた劇場アニメ版は、中沢氏自身が私財を投げ打った、大変な力作となっています。

「少年ジャンプ」に連載された衝撃作

劇場アニメ『はだしのゲン』DVD(バップ)
劇場アニメ『はだしのゲン』DVD(バップ)

 8月6日は広島に「原爆」が投下された「原爆の日」として、日本人の心に刻まれています。第二次世界大戦中だった1945年8月6日、米軍は広島への原爆投下で史上初めて人類に対して核兵器を使用しました。罪のない市民14万人余りがその年の暮れまでに亡くなり、現在も「原爆症」によって多くの人たちが苦しみ続けています。

 原爆の恐ろしさを描いたマンガとして有名なのが、中沢啓治氏が故郷・広島での被爆体験をもとにした自伝的作品『はだしのゲン』です。『はだしのゲン』は1973年~74年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)に連載され、その後も掲載誌を変えながら1985年まで連載が続きました。コミック版全10巻は翻訳もされ、世界的なロングセラーとなっています。

 大ヒットした劇場アニメ『この世界の片隅に』(2016年)の原作者・こうの史代氏も、『はだしのゲン』に影響を受けていることを認めています。三國連太郎さん主演作として『はだしのゲン』は1976年に実写映画化、中井貴一さんと石田ゆり子さんが主演した実写ドラマ版も2007年にフジテレビ系で放送されていますが、今回は中沢氏自身が7000万円を調達することで製作にこぎ着けた劇場アニメ『はだしのゲン』(1983年)を中心に振り返りたいと思います。

「麦のように強く育て」という父の教え

 劇場アニメ『はだしのゲン』の制作スタジオは「マッドハウス」です。「マッドハウス」の設立者であり、劇場アニメ『この世界の片隅に』の企画者だった丸山正雄氏が設計を担当しています。角川アニメ『幻魔大戦』(1983年)の脚本も手掛けた真崎守監督が、第1作を監督(続編『はだしのゲン2』は平田敏夫監督)。美術監督はスタジオジブリ作品でその名を広く知られることになる男鹿和雄氏。音楽は「超時空要塞マクロス」シリーズの羽田健太郎氏……と、スタッフは一流ぞろいです。
 
 主人公は広島市内の小学校に通う中岡元(CV:宮崎一成)。下駄に絵を描く職人である父・大吉(CV:井上孝雄)、身重の母・君江(CV:島村佳江)、やさしい姉・英子(CV:中野聖子)、やんちゃな弟・進次(CV:甲田将樹)に囲まれて、元気いっぱいに暮らしています。

 戦時下ゆえに配給される食料だけでは、育ち盛りのゲンたちのお腹は満たされません。そこで大吉は畑に麦を撒き、「ふまれて ふまれて つよく 大地に根を張り まっすぐにのびて 実をつける 麦になるんじゃ」と子供たちを励ますのでした。貧しいながらも、家族同士がお互いを思いやる幸せな日々が描かれます。

 しかし、時間の流れは止めることはできません。1945年8月6日の午前8時15分が中岡家にも訪れることになります。

【画像】学校の図書館でも読めたマンガ…『はだしのゲン』(4枚)

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