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マンガ・あからさまな “テコ入れの瞬間”3選 アンケートの順位は上がったか?

マンガにとって「テコ入れ」は良くも悪くもその作品の命運を分かつものです。ひと昔前ではあっけにとられるような「テコ入れ」もありましたが、果たしてその歴史的瞬間はいつ行われたのか……具体的な話数を紹介していきます。

明暗がはっきりと分かれた「テコ入れ」! その歴史的瞬間をチェック!

原作:真倉翔、作画:岡野剛『地獄先生ぬ~べ~』文庫版第1巻(集英社)
原作:真倉翔、作画:岡野剛『地獄先生ぬ~べ~』文庫版第1巻(集英社)

 週刊連載マンガにおいてテコ入れ(延命措置)は当たり前でした。ところが、その潮流がここ最近少しずつ変わりつつあるようです。例えば『鬼滅の刃』(著:吾峠呼世晴)は人気絶頂のなか物語は完結。無理に引き伸ばさなかったことへの賛辞も多く見受けられました。アンケート結果を受けてその都度、なんらかの対策を講じることは「週刊少年ジャンプ」に限らずどの媒体でも行われていたことではありますが、これまでの流れを断ち切る、あからさまなテコ入れは徐々に消えていくことになりそうです。

 ということで本稿では最近は見かけなくなったテコ入れの瞬間をピンポイントでご紹介。読者との格闘の軌跡を振り返ります。

●本格カードバトル編が始動するのは『遊☆戯☆王』の【27話】

 今や世界一販売枚数の多いトレーディング・カードゲームとしてギネス認定されている「遊戯王カード」ですが、その原作『遊☆戯☆王』(著:高橋和希)が最初からカードバトルのマンガではなかったことは今の若い世代は知らないかもしれません。連載当初は主人公・遊戯がさまざまなゲームで対戦していくという一話完結型のストーリーだったのです。ところが謎のエジプトの青年シャーディーが登場したあたり(3巻)から徐々に人気は低迷し、打ち切りの危機に。そこで起死回生の一手となったのが序盤の9話で登場した「マジック&ウィザーズ」(遊戯王カード)。これが読者に大反響だったことから27話で再登場させ本格的にストーリーに組み込みます。結果、天蓋を破る勢いで人気が急上昇。やがて世界的なカードバトルブームが巻き起こるに至ったのです。

●美形ライバルが登場するも…『地獄先生ぬ~べ~』の【11話】

『地獄先生ぬ~べ~』(原作:真倉翔、作画:岡野剛)も数多くのテコ入れで成功を収めた代表的なマンガです。実際、原作者の真倉翔先生も初期は“いつ終了でもおかしくない低迷ぶり”だったと述懐しています。アンケートの順位を上げるべく、ターゲット層の心をいかにつかみ取るか……このあたりの奮闘ぶりは文庫版で詳述されています。(※電子書籍版では未収録)

 記念すべき最初のテコ入れとなったのが11話。初のライバルであり、デザインにも気合を入れた美形キャラの玉藻を登場させたところ……見事女子のハートをつかむことに成功! ところがメインターゲットの男子小学生からの支持は獲得できず、アンケートの順位はさらに落ち込む結果に。これを受け玉藻はいったん、フェードアウト。少年読者層をより強く意識し、学校の怪談シリーズに突入したあたりから人気は軌道に乗り始めます。並行して女性キャラの露出が増えていくのも「テコ入れ」と考えて間違いないでしょう。なお海賊マークで局部を隠す技法は『ぬ~べ~』が元祖です。

●今や「テコ入れ」の代名詞…『タカヤ – 閃武学園激闘伝 -』の【38話】

 テコ入れを語る上で避けることができないのが『タカヤ』(著:坂本裕次郎)です。途中で改題されているので、テコ入れの継ぎ目が明確です。5巻までは『- 閃武学園激闘伝 -』という学園バトルマンガでしたが、38話目で突如として異世界へ迷い込みファンタジー編『- 夜明けの炎刃王 -』がスタートします。一体何が起きたのか……その経緯については明かされていませんが、残念ながら早期終了となってしまいました。

 以上、「あからさまなテコ入れ」の瞬間をピンポイントでご紹介してきました。やはりアンケート重視の「ジャンプ」作品ばかりの選出となってしまいました。こうした延命措置が功を奏す時もあれば寿命を早める時もある諸刃の剣であることは間違いありません。

 第2部を控える『チェンソーマン』(著:藤本タツキ)の担当編集者は「アンケート結果に左右されて物語の展開を変えるようなことはしてほしくない」と語っています。今は変革の過渡期。本稿で見てきたようなテコ入れはこれから先、ある種のレガシーとなっていきそうです。

(片野)

【画像】打ち切りの危機から脱した人気マンガ

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